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Robert Glasper - Let Go

ロバートグラスパー、2024年の本作はキャリアの中でももっとも静謐な印象を受ける。和声の美学やグルーヴは変わらず、一方で旋律はより抽象的でメディテイション色を強めた非常に私小説的な印象を受けた。

タイトル曲、Let Goは、マイナーコードによるピアノの朴訥とした演奏とバックを支えるわずかな電子音やドローンが本作を象徴しているように思う。メロディーを削ぎ落とし極めて静かな心象風景だけで彩られた世界だ。

Round ‘bout Sunlightは、タイトルからも連想させる歴史とコンテンポラリーの融合を感じるロバートグラスパーらしいアプローチだと思う。ギターによるコードフレーズと癒合したピアノのわずなな単音を淡々と支える静かなビートを軸に進んでいく楽想がとても美しい。

I amは、美しいコード進行の中でやはり静かなビートが淡々と繰り広げられる心象風景のようなピアノの旋律を支えている。サウンドトラックのような語りを含めて全てが具体的でありながらやはり沈むこむような内省を感じさせる印象的な世界観だ。

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