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Phil MFU - Hot Space

1970年代のライブラリーミュージックやシュトックハウゼンの電子音響の影響を受けたという解説を見たことがある。ドラムの質感はコンテンポラリーな感触もあり多様な音楽を詰め込んだ上でモジュラーシンセをフル活用したアウタースペースファンク的な仕上がり。2018年作。

冒頭のMarooned on Mercuryは、スピード感あるファンキーなドラムとリフが素晴らしい。時折呟かれるエコーの効いたボーカルのメロディーはガレージ感もありシンセサイザーのパーカッシブな音とともにスペースサイケ的な世界に一気に惹き込まれる魅力がある。

Conflicting Reportsは、モジュラーシンセサイザーとドラムによるインプロビゼーションを軸にした極めて実験的なフリーアプローチからなっている。どちらも基本的にはテンションを変えずにインプロを続けるスタイルだが、電子音の質感に完全に一致させるようなドラムの質感とバランスが素晴らしい。

Electric Jam Number 7は、ややテンポを落としたヘビィファンク的なグルーブを電子音で再現していくがどことなくユーモアも感じられる軽やかなスタイルになっている。このあたりの軽妙さはライブラリーミュージックの影響やPhil MFU自身のキャラクターもあろう。結果として非常に馴染みやすい仕上がりになっている。

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