Marker Starling - Diamond Violence
カナダのSSW、Chris A. Cummingsが率いるMarker Starlingの2022年の本作はバンドサウンドを基調にしたタイトな演奏の一方で作品を通じて物静かな雰囲気が漂っているメロウなアレンジが素晴らしい。インスタントクラシックスと表現されることもあるMarker Starlingの美しいメロディーが活きた心地よいアルバムだ。
冒頭のタイトル曲、Diamond Violenceは、ゲストミュージシャンPeter Zummoによる柔らかなトロンボーンの音色が印象的なイントロからゆったりしたリズムとやさしげなメロディーのボーカルへの受け渡しが素晴らしい。エレピとワウギターの静かな組み合わせに出過ぎないドラム、どれも淡い情景を描いている。
End Of Summerは、硬質なベースとドラムの組み合わせが素晴らしい。厳選されたフレーズを奏でるギターと楽曲の和声を牽引するエレピがリズムトラックの上にとても自然に重ねられているが、バンドアレンジとしては難易度の高い抑制された表現ではないかと想う。
OK To Needは、リズムボックスのレトロエレクトロなサウンドとバンドが重なる美しいアレンジが魅力的だ。前作をプロデュースしたSean O'Haganにも通じる世界観を感じる。中盤のリズムボックスからドラムへのスネアの受け渡しがとても良い。小さな作品だが最後に収録されたYet You Go Onを引き立てる絶妙なポジションで本作の静かなクライマックスではないかと思う。
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