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如月小春 - 都会の生活

1986年、如月小春が残した唯一の音楽アルバム作品。作曲、プロデュースは高橋悠治や坂本龍一などが関わり、曲調もネオクラシカルであったりアヴァンポップであったりラジカルな電子音楽であったりエレクトロニカであったりと様々でありながら全体を通じて不思議な美学が貫かれている。本作の時点でもすでに演出家として表現は確立していたであろう自身の表現が幅広い音楽を通じてもしっかりと貫かれている凄みを感じる。

タイトル曲、都会の生活は、20世紀初頭の騒音芸術を想起させる。オープニングから不規則なマーチングドラムにシンセベースが牽引する中シアトリカルなボーカルで覆い尽くす圧倒的な楽想とアレンジが素晴らしい高橋悠治による作曲、編曲、プロデュース作品になる。

TRAUMEREIは、エレクトロニカ、ネオクラシカルに通じる静謐な演奏が美しい。時間の経過を示すメトロノームのようなパーカッションとシンプルなアレンジが余韻を美しく描く。

NEO PLANTはアルバムの中で、NegaとPosiという2つのバージョン、またアルバムとは別にシングルバージョンがある。いずれもこの時期の坂本龍一らしいエレクトロモダンな質感が素晴らしい。また断片的に登場する如月小春によるラップがとても斬新だ。いずれも1980年代らしいアプローチであると同時に不思議と色褪せたところを感ず、むしろアヴァンポップとして成立している雰囲気もある。素晴らしい作品だと思うう。

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