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Pharoah Sanders - Moon Child

1990年のファラオサンダース、本作はスピリチュアルなテーマを添えた占星術的なアルバムである一方でスピリチュアルに寄りすぎないコンテンポラリーなジャズアプローチでサウンドを固めた作品に仕上がっている。全編をアコースティックで柔らかな質感に包み込んだ初期のSun Raにも通じるような世界観をもったアルバムだ。

冒頭のタイトル曲Moon Childはパーカッションとドラムの組み合わせが静かなビートを刻む中にシンプルなメロディーで穏やかなファラオ自身のボーカルが埋め込まれている。随所にはさみこまれるサックスとの対比が美しい。ウィリアムヘンダーソンのピアノはまさにアコースティック期のSun Raを想起させる美しいアプローチだ。

The Night Has a Thousand Eyesは、マイフェイバリットシングスの頃のコルトレーンが残した同曲の演奏とイメージが重なる。どことなくドラムやピアノはコルトレーンのカルテットのような力強いアプローチで、呼応するファラオサンダースのサックスもとても力強い。フリーになりすぎずメロディアスなソロに惹き込まれる。

Soonは、非常にベーシックなバラッドのアプローチが心地よい。サックスを支えるドラム、ベースとピアノのバランスの良さからこのメンバーの力量が窺える。ウィリアムヘンダーソンの流麗なピアノソロが素晴らしい。

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