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Hatfield and the North - S/T

カンタベリー人脈が交差するHatfield and the Northはその時点で取り組みたい音楽を実現するための最善のメンバーを揃えたというような趣がある。1974年の本作は短めのトラックが絶え間ななく続く構図の中に2曲、コアになる楽曲が据えられている。印象派を思わせるカバーアートと連続して一つの組曲のような形を成している楽曲の構成力はつながりを感じる。

Son of ‘There’s No Place Like Hometown’は、前半のコアになる楽曲で、鍵盤のフレーズが少しづつコードを移行させながら徐々にバンドが入ってくる。2分半を過ぎたあたりから展開するミニマルなオルガンとホーンのアンサンブルが素晴らしい。ここから後半に向けて複雑な構成をリラックスしながら響かせる力量が詰め込まれている。

Fol de Rolは、実験的なSEやパーカッションと逆回転を思わせる静かな音響に穏やかな和声が示され、次第に無調に近いメロディーが織り込まれていく。後半のベースソロと最後のボーカルへの受け渡しが素晴らしい。

Shaving Is Boringは、アナログシンセサイザーが奏でるメロディーを複雑なリズムが支えながら徐々にテンションを上げていく。どこか飄々とした雰囲気もありながら技巧の只中に入っていき、パートごとのソロを繰り回す様は圧巻だ。

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