見出し画像

The High Llamas - Hey Panda

2024年の本作は、生きることの悲哀を楽観主義をもって描いたという解説があったが30年以上のキャリアとポストロックにおけるブライアンチルドレン感を昇華したサウンドは、瑞々しさと軽妙なナンセンスや深いポップスへの造詣に悲哀と楽観主義が入り乱れた不思議な魅力のある作品だ。

冒頭のタイトル曲は、ハイラマズらしい自然な転調とポストロック期を思わせるサウンドで一気に惹き込まれる。静かな進行の中で絞り込んだ音数はポストロックを2020年代にアップデートさせたような雰囲気もあり、実際にSZAの影響もあるとされているようだ。R&Bのメロウな流れも組み入れたアプローチが素晴らしい。

Bade Ameyは、エレクトロラウンジ感溢れるアレンジが素晴らしい。静かに進行するリズムと乖離の激しいメロディーにポップな要素は少ないはずだがどこかポップに響く柔らかな質感や、突然のボーカルの入れ替わりであったり転調など不意の要素が折り重なる構造も魅力的だ。

Toriafanは、環境音楽的なアンビエントフィーリング漂う電子音と短いフィーリングを組み合わせた予測困難な複雑さをそのまま見せているにも関わらずユーモアやポップさに溢れたブライアン風のストレンジミュージックアプローチが素晴らしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?