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Paul Bley Trio - Closer

ポールブレイとESP Diskの組み合わせはどちらもぎりぎりのバランスというかどこか緊張感のある佇まいが素晴らしい。本作と前後してクインテットでもESPに録音を残しているポールブレイだが、静寂の緊張感と美しさについては本作により多く込められているように感じる。本作を含む1960年代のポールブレイの多くの作品にベーシストとして参加しているマークレヴィンソンの静かでラジカルなベースも素晴らしい。

冒頭のIda Lupinoは、カーラブレイの作品だがこの演奏を録音したことだけでもESPの功績ではないかと思う。それほどにポールブレイの淡さや繊細さがメロディーと和声、脆い打鍵に詰め込まれていると思う。ピアノのグリスが淡々としたアプローチに関わらずとても叙情的に響く様はとても美しい。

Batterieは、クインテットによる演奏も素晴らしいが本作は一層あやうげなフリー感が静かに響き渡る演奏になっている。断片的なピアノのインプロビゼーションの間を縫うようにさらに断片的なベースと、両者を静かに煽るドラムの距離感がとても面白い。

Violinは、アーネットピーコックによる作品だが無調にアウトするフレーズを積み重ねた不思議なピアノアプローチが素晴らしい。対照的にベースはとてもシンプルに調性をみせるシーンがあり、両者の異なる解釈かあるいは緊張感か独特の奥行きを持たせている要素がとても印象的だ。

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