見出し画像

Herbie Hancock - Secrets

Head HuntersからSunlightへの変遷がわかる過渡期のようにも思える1976年のアルバム。硬質なアプローチとメロウな質感が入り混じる心地よさがある。アレンジを大幅に変えた過去作品の収録を含めて試行錯誤もありつつアルバムとして成立させてしまう力量が素晴らしい。

冒頭のDoin' Itは、ギターの1音から始まる時点でハービーハンコックの試行錯誤の始まりという感じがある。ワンコードのファンキーなフレーズを基調にしたミニマルな構成の中でグルーブが心地よく響く。ミニマルなフレーズに囲まれたコーラスのメッセージがJust keep on!というのはどことなくユーモアも感じられる。

Gentle Thoughtsは、作り込まれた構成が印象的だ。心地よいリズムとメロウ感あるメロディーからのポップなメジャーコード進行を携えた展開は冒頭のDoin' It同様に不思議とどこかユーモアが刻まれているような気がする。

Swamp Ratは、複雑な譜割りと高度な演奏力をデイレクトに楽しめるアプローチだ。Gentle Thoughtsに続く曲だが両者の対比はとても面白い。ギター、サックスの各ソロのバックをバンド全体が作り込む緊張感あるポリリズムが素晴らしい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?