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Teenage Fanclub & Jad Fair - Words of Wisdom and Hope

この組み合わせを最初につないだのは、本作にヴォーカルとして参加しているKatrina Mitchellではないかと想像する。Jad FairとKatrina Mitchellのコラボレーションは数枚のEPで実現しているが、そこから2002年の本作につながっていったと考えるととても面白い。Jad FairのボーカルはMayo Thompsonのようにアメリカーナとローファイインディの橋渡しを示しているようにも思えるし、一方のTeenage Fanclubはアメリカーナを意識しつつグランジを一層ミニマルで洗練させたようなアプローチが印象的だ。

Smileは、Teenage Fanclubの演奏もJad FairとKatrina Mitchellの歌もどことなく初期ヴェルヴェットアンダーグラウンドを思わせる。全員の共通のバックグラウンドとしてのヴェルヴェットアンダーグラウンドというのはこのアルバムのコアの部分に強く感じるが最もわかりやすく表面化しているのがこの曲だと思う。

Cupidは、やはりヴェルヴェット色を感じるが、Teenage Fanclubが演じるアメリカーナ的な演奏アプローチが枯れた質感と小さくミニマルな瑞々しさを織り込んだような不思議なフィーリングを生み出しているのが面白い。

You Rockは、スロウコア的なTeenage Fanclubの演奏が素晴らしい。中間部の不思議な間奏の浮遊感も淡々とJad Fairによって語られるJad Fairによる物語もゆっくりとサイケデリックな世界観に溶けていく。終盤の僅かな音響処理を含めて細部に実験的な要素の多い1曲だと思う。

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