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蟻アント - 大事ない未来

本作は民謡クルセイダーズとの共演や、発売時(2023年11月)のリリースパーティーでのおRYO!の出演など、エレクトロニカやヒップホップを軸としつつ音頭や土着的なリズムとのクロスオーバーな活動を自在に繰り広げる蟻アントによる多様な音楽が素直に表現された作品だ。

mocodanonをフィーチャリングした民謡、南部茶屋節はベースラインや音響処理にダブの要素をストレートに詰め込んでいる。民謡然としたボーカルがダビーなトラックにしっかり埋め込まれていてとても心地よい。

Gecko Shadowはサブベースやドランクビート的に配置されたリズムが和太鼓のサウンドを軸に作られている。トラックの純度は高く、とても硬質な仕上がりで和太鼓そのものもラジカルな音の要素の一つとして突出することなく収まっている。

アルバム最後に収録されたキツネ目の子供は、やはりmododanonをフィーチャリングした楽曲だが、童話のサイケデリック感やどこか泉鏡花的な幻想を感じさせる絵画的なフィーリングも感じた。楽曲は特に気負いなく、穏やかな世界観を保ったまま終盤まで続いていくが本作に埋め込まれたラジカルさからはもっとも距離感のあるサウンドなだけに非常に不思議で印象深い。

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