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7038634357 - Neo Seven

電話番号をモチーフにしたプロジェクト名やタイトルの"Neo"もネーミングにネオギブソン個人とそれを記号的に変換したある種のデータとの中間性のようなものを感じさせるが、本作は作風も必ずしも電子音楽やミニマル、ドローンといった特定のキーワードにこだわるものではなく自由でありつつ個人のアイデンティティにも関わるある種の表現の痕跡も刻む余韻を感じさせるアルバムだ。

冒頭のWindedは純然たるアンビエントスケープに思われるが後半の強いノイズなど意図的にアンビエントから外れるアプローチを打ち出している。そのために、続くEverytimeはやはり淡いスケープからはじまるがどこかにアウトしようとする仕掛けがあるのではないかと感じながら聞いてしまう。実際、楽曲が進むにつれて粗いノイズが混じるがとても美しい。微かにヴォイスパフォーマンスともとれる歌が配置されているのも印象的だ。

続くSquare Hearはゼロ年代前後のUSインディーも連想するような明確なメロディーをもった歌が入る。声の淡さとコードのシンプルながら美しい組み合わせがとてもポップな表現になっている。

Overbraidは、本作のミニマルアプローチをもっとも明確に組み合わせたような曲ではないかと思う。音が鳴っている状態と無音の状態を交互に組み合わせつつゆっくりと変化する、一方で切り替わりは早くテンポを保っている。一方、ノイズや歌のアプローチをもっとも明確に凝縮しているのがラストのPerfect Nightだろう。どちらも冒頭にも触れた極めて個人的な部分と記号的な部分を持ち合わせたアプローチだと思う。

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