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Fra Lippo Lippi - In Silence

本作は1981年に元Genetic Controlのメンバーが変遷経てFra Lippo Lippiとしてノルウェイで発売した最初のアルバム。ジョイディビジョンのフォロワーの中ではかなり早い段階から明確にポストパンクゴシックの良質な部分を取り込んだバンドというイメージがある。本作の時点ではフォロワーの域のようにも感じるが豊かなメロディーが魅力の作品だ。

Out of the Ruinsは、初期キュアーにも近い性急なビートと硬質なギターが印象的な曲だ。深いエコーに包まれたボーカルはゴシック然としているが、淡白な演奏との対比で淡いメロディーが美しい。中盤のギターソロとも間奏ともつかないミニマルな演奏が徐々に熱を帯びていくアプローチが心地よい。

In Silenceは、後期バウハウスを彷彿させる枯れたギターが美しい。レベルを抑制したボーカルかかすかに響きドラムのフレーズとともにミニマルな展開が続く。淡々とした世界観はジョイディビジョン以上に諦観を感じる。

Lostは、冒頭の電子音のドローンが素晴らしい。この静謐な要素はバンドの重要なフィーリオン具の一つだと思う。徐々にギターとボイスフレーズが入り混じるが、プリミティブなフォラムのフレーズで一気にバンドアレンジに突入する。ギターのゆるやかなインプロビゼーションフレーズが楽曲を牽引するがやはり淡々とした進行がとても美しい。

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