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Roedelius - Jardin Au Fou

ユートピアミュージックとも評される1979年のアルバム。レデリウスはこの時点ですでにClusterやHarmoniaでシンセサイザーを用いたチルアウト系の音楽形態を確立しており、本作はTangerine Dreamのメンバーとの共同プロデュース作品になる。環境音楽的なアプローチとレデリウスらしいメロディセンス融合した美しいネオクラシカル的作品だと思う。

冒頭のfou fouは、チョップスティックという名前で知られるピアノ曲だが、19世紀、ユーフェミアアレンという作曲家が発表した曲とされる。アレンが発表したのはこの曲のみだがその唯一の発表作が無数の演奏を生み出している事自体が素晴らしい。その上で、レデリウスのこの演奏は、電子音によるミニマルな伴奏からはじまり、有名なチョップスティックのメロディーが入るとようやく原曲とつながる。メロディーは断片的に消し去られておりミニマル度合いが強調されているがサウンドはとても心地よく欠落感は全く感じさせない。

Rue fortuneは、やはり3拍子の楽曲で極めて不穏なオルガンによる演奏が印象的だ。どこかフェリーニ的な世界観を連想する。この曲ももしかしたら何らかルーツがあるのかもしれないがそれは分からなかった。洗練されたアプローチが多いレデリウスの作品の中ではよりプロみティブな感情の上に成り立っている楽曲のような気がする。後半のFinaleで再び同じモチーフが登場する事からもこの曲の位置付けは重要ではないかと感じる。

Le jardinは、小鳥の囀りのSEに合わせて単音のメロディーが深いエコーの中から発せられる。次第に和声の伴奏と、サブメロディーが加わるが、ワンコードのミニマル構図のまま徐々に加わるアレンジはとても美しく多幸感に溢れている。

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