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あがた森魚 - 日本少年 -ヂパング・ボーイ

1976年作、稲垣足穂の流れを組んだ世界観とタイミング的にも泰安洋行前夜の細野晴臣のアメリカ音楽やボードビリアン趣味にムーンライダーズの演奏がプログレッシブに折り重なる様はジャケットに書かれた「大冒険特大号」の通り、移り気な気持ちがさまざまな物語と世界を夢想させるコンセプトアルバムだと思う。

夢見るスクールデイは、陽気な演奏が素晴らしい。シンプルにアメリカ音楽への憧憬と少年の精一杯の世界との組み合わせが詩情溢れる雰囲気を醸し出している。賑やかなPart1から静かなPart2へは学校のチャイムを思わせる電子音が橋渡しをしている。楽曲的にはPart1に、フィーリングの部分ではPart2に、それぞれブライアンウィルソン味があるところがとても面白い。

リラのホテルは、ヨーロッパ趣味溢れる弦楽器とピアノに包まれたポエトリーリーディングから、3連のプログレッシブバラッドにつながっていく。複雑に入り組んだアレンジが素晴らしい。

採光∞無限は、淡いエレピのニューエイジ・エレクトロニカ風アプローチとかすかに歌われるあがた森魚の声を軸にしたラジカルな作品だが、かすかに徐々に積み重なる音と少しずつフロントに出てくるボーカルのミックスが芸術的だ。繰り返されるメロディーと言葉が徐々に見えてくる仕掛けがとても美しい。

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