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Alune Wade - Sultan

セネガルを拠点に活動するベーシストAlune Wadeによる2022年のリーダーアルバム。ベーシストとしての技巧と幅広い音楽性を十分に詰め込んだ濃厚なアルバムに仕上がっている。複雑なアレンジはモンド、ラウンジの系譜からも楽しめる充実作だ。

冒頭のSaba’s Journeyは、エチオピアやエジプトのスタイルとクロスオーバージャズを組み合わせたような楽想の中で技巧に満ちたベースラインをオーケストレーションと共に落とし込む仕上がりに圧倒される。マイナースケールに乗せるメジャーコードの斬新さや後半のインプロビゼーションとフレーズアレンジの応酬も素晴らしい。

Nasty Sandは、ロック色も感じられるベースとギターによるリフにおそらくAlune Wade本人と思われる力強いボーカルが加わるテーマと合間に示されるベースソロラインの組み合わせに惹き込まれる。ホーンセクションの厚みとギターのリフが違和感なく収まる気迫溢れる演奏が印象的だ。

Dalakaは、ピアノとトランペットを軸にした軽快な演奏にドラムとボーカルが加わり牧歌的なアプローチを繰り広げる心地よい1曲だ。中盤の力強いユニゾンを経て間奏に向かう展開はとても洗練されている。Dalakaは「国」という意味の単語のようだ。ゆったりと流れる時間とポップな展開が美しい。

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