#読んだ漫画メモ ほしとんで

一言で紹介すると、大型書店の書店員の悲喜こもごもを描いたコミックエッセイ『ガイコツ書店員本田さん』の本田さんが描く、俳句ゼミのバラエティ豊かな日常を描いた俳句マンガ。

冒頭

めちゃくちゃ普通っぽい主人公流星(りゅうせい)が芸大の俳句ゼミ入ったところから始まる。
試し読み こちら(LINEマンガ)

買ったきっかけ

『ガイコツ書店員本田さん』の個性尖りまくった登場人物たちと書店員にブッこまれる尖りまくったお客さんとの接客に本田の目線で書店員の人たちが奮闘してるのに爆笑しつつ、「人をよく見て特徴を捉えられて、面白くみせてくれるこの方が書いた他の物語を読みたいなー」と思っていたので、検索したところちょうど5巻までほしとんでが出ていたので全巻買ってみました。

読んでみた

好き度
★★★★★
冒頭からキャラが尖ってて「すき〜!!!」てなりながら読んでしまいましたw
主人公の普通っぽい人・流星、ロン毛のオタク眼鏡男・春信、恰幅の良いチェコと日本のハーフの女性・レンカ、子連れのママ・みどりと赤ちゃん・ひばり、独特だけど真摯な先生・坂本と、その他モブと、小説好きの眼鏡女子川上薺(なずな)。
文芸学部の中で俳句ゼミを選ぶのはマイノリティ!て感じで個性豊かな面々が集まり、探り探りの空気の中自己紹介がすすむのですが、この時点で面白い気しかしなくてワクワクしました。

特にこの独特な先生・坂本がめちゃくちゃいい

なーって思いながら読んでました。

これはよくよく考えたら自分の中学の時の先生を思い出したからかなと思います。
中学の頃、大学で研究しながら日本史の先生もしてた先生がいて、(名前忘れた)
その先生は教科書読むとかじゃなくて教科書の写真をみて、「どういう状況だと思う?」って考えさせる先生でした。
よく覚えている彼から出されたテーマがナイフ付きの銃を泣きながら咥える骸骨の絵で、塾で先に習った子がイキイキと回答してたのを今でも思い出せます。(すげー悲壮な絵なのに答えた彼は気にしてなくてサイコパスみがあるな〜て思ってたw)
あとええじゃないかの絵もあったな。

アンニュイな雰囲気を纏った先生で、敬語を使うし、丁寧だし、ただ教科書通りになぞるような授業をしない。
そんな先生がめずらしくて驚いたと同時に「授業は退屈だと思うけど考えられる大人になるんだよ」って秋か春の気持ちが良い教室の窓辺で白いカーテンがたなびく中、寄りかかりながら何かに諦めたようにけだるそうに言ってたのがずっと残っていて、先生が取り繕わずに私(たち)向き合ってくれているんだな、とうっすら思った経験。

大人になってから出会った大学で教えたり研究する先生たちは、そういう興味だとか、感じたものとかを自分の定規で測って握りつぶさないで向き合ってくれる人が多かったように思う。
その感じをこの先生からなんとなく感じて、1話目で好きになったのでした。

ほしとんで(Amazon)

以下ネタバレ含む感想、好きなシーンと言葉。

先生が花粉症どう?て聞くシーンの怯えてる文学女子薺(なずな)。

浮世絵の騙し絵みたいになった航太郎。(この例えできる????笑最高すぎる)

色めくこじらせチーム
人に批評されることに敏感な3人がおもろい。
とくに薺さんの批評に一気一憂したり、自嘲してる姿が愛おしい。中で感情が乱高下してるのに外には出さないでコミュニケーションしてるの、可愛すぎる。人として愛おしい。あとそれに対して流星が淡々と受け入れてるのも良さ〜〜てなりながら読んでしまった。何もなくそのままやりとりできるのって尊い。

「や」「かな」「けり」を使って俳句をつくってみんなで披露するところ。
みんながわちゃわちゃしてて好き。特にロン毛眼鏡オタクの春信がところどころツッコミ入れてるのがおもろい&かわいい。常にこういう感情剥き出しの春信めっちゃすき。

この後添削されるところもみんなHP削られてるんだけど、こう圧倒的な知識に裏打ちされて添削されてハマる表現になるところの感動みたいなのとか、怖いって思われたから指摘したあとで裏声になる先生とか「はー好!」てなりながら読んだ。好〜!!!

こんなふうに何もわからないみんなが俳句を作ったり随行したりして作ってたり、連句で海底のヨットだとか、海底二万マイルとか、後朝のメンソとか、自由な情景を表現するのをみて、俳句に対して「あーよくわからんけど自然風景とか恋愛を詠んでんだな」みたいな自分の中にあった雑な固定概念がぶっ壊れて、自分のせかいを表現する方法のひとつなんだな、と改めてすとんと腹落ちしたのが自分の体験の中でいちばん面白かった&うれしかった。
よくよく考えたらそうなんだけど、そうなんだけど。
あとはみどりちゃんと芸術はどういうものかみたいなところも個人的に大きく揺さぶられた。
本当にこの作品が好き。

次の作品も楽しみだな〜〜!!!!!

おわり。

この記事が参加している募集

マンガ感想文

私のイチオシ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?