「やさしい日本語」で防災講座③
いろいろな人に参加してもらおう!
「やさしい日本語」で行う防災講座は、外国人住民の皆さんに防災知識をつけてもらうだけでなく、「やさしい日本語」を知ってもらったり、「やさしい日本語」で話してもらういい機会にもなります。
地域の国際交流協会や日本語教室、行政の多文化共生を担当する部署だけで完結するのではなく、様々なフィールドの人に参加してもらいましょう。
行政:
役所のいろいろな部署を回ってみましょう。地域によって課の名称は様々ですが、市民の生活に関する担当部署や国際交流や多文化共生、防災を担当する危機管理課や人権課(関西に多い)、市民との交流を行っている部署も地域によってあります。いろいろな部署に声をかけ、広報に協力いただいたり、職員の方の参加をお願いしましょう。
外国人住民に届いていない外国語の資料はありませんか? 防災講座は多言語の資料を持ち帰ってもらういい機会にもなりますし、資料の作成担当者とつながれるかもしれません。
消防署:
市民向けの出前講座を積極的に行われている消防署も多いので、ぜひ防災講座の内容などアドバイスをお願いし、参加もお願いしてみましょう。最近は外国人住民の方との対応に翻訳アプリなども使われることが多くなっていますが、翻訳アプリも「やさしい日本語」を使うほうが正確な翻訳になります。「やさしい日本語」を知っていただけるいいチャンスです。
また、防災グッズの貸し出しをしている消防署もありますので、聞いてみてください。(貸し出すけれど、触ってはいけない!というところもありましたが・・・)
自治会:
災害時の第一次避難と安否確認、避難所の開設や運営など、自治会は災害時にたくさんの役割を担っています。ただ、現状としてはそこに外国人住民が来ることを想定していないところがほとんどです。自治会の役員の方が地域の外国人住民のキーパーソンとつながっていることは、情報伝達や避難所での運営、地域の安全にも役立ちます。
避難所の運営についても、外国人住民が避難してくるという視点があると事前にできる準備が変わってきますし、災害時弱者といわれる高齢者や乳幼児、妊婦さんの視点にもつながります。
地域日本語教室:
日常生活で頼りにされるのが地域日本語教室の先生です。外国人住民が定期的に集まる日本語教室は、情報の要です。普段は日本語を勉強したい人だけの集まりですが、ここに来る人を通じて、外国人、日本人を問わず、その家族や子どもさん、お友達の参加をお願いしましょう。広く参加してもらうことで、日本語教室の参加者が増えたところもありますよ。
教会、個人商店:
教会や外国人住民がオーナーのお店も大切なコミュニティです。災害時はこうしたコミュニティを頼って情報が伝えられたり、物資の提供があったりします。講座をきっかけに行政の災害システムや人と人とが繋がることも期待できます。
企業:
外国人が働く環境には、日本人の同僚や上司、社長さんがいて、商工会議所といった組織もあります。普段いろいろと世話を焼いているのが社長の奥さんだったりもします。防災講座を通じて、そういった方々の参加も呼び掛けてみましょう。「やさしい日本語」の基礎講座でよくある勘違いは、「擬音語や擬態語で話す方がわかりやすいと思っていた」「親しみを込めて、です・ます調は使わないようにしていた」「カタカナ語や英語交じりで話す方がいいと思っていた」です。できれば、参加する日本人向けに「やさしい日本語」の基礎講座を行えば、こうした勘違いも解消できます。
思うように講座への参加がなくても大丈夫です。「やさしい日本語」を知る人が増えること、外国人住民がいること、外国人住民をサポートするたくさんの人や団体があることを「知ってもらうこと」が次につながると思います。身近な人たちとの勉強会でももちろんいいのです。近頃、あちらこちらで地震が多発していて心配です。まずは、始めて見てください。
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