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行動につながる情報提供を

今、国土交通省や気象庁でも防災気象情報のわかりにくさが問題となっており、改善に向けての会議も進んでいます。

ザクッというと、シンプルでわかりやすい防災気象情報にしよう、という会議です。

命に関わる情報だけに、これを「やさしい日本語」目線で考えると見えてきたことがいくつかあります。(あくまで素人目線の意見です、あしからず)

まず、現状。気象庁の「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」のページには下記の一覧があります。

段階的に発表される防災気象情報と対応する行動

気象庁が出しているのは青の枠線、‟気象”の情報です。
昔は天気予報は当たらないというのが定説でしたが、今や精度も上がり、雨がどのくらい、どの場所に降るかの予測ができるので、「大雨」「土砂災害」「洪水」の防災情報を出しています。「高潮」は雨と風と気圧が大きく影響するので、この防災情報も出しています。「川」も上流でどのくらい雨が降るか予測でき、下流のどの部分でいつごろ氾濫するかというデータの蓄積もあって防災情報を出しています。

では、上の気象庁等の情報の中で、「注意情報」「注意報」「注意」はどう違うのでしょうか。「警報」「警戒」「特別警報」は? 「危険」「危険情報」??昔、CMにありましたね、「おっと」「おとと」「おとうと」「おとう」一文字違うと意味がまったく異なるのが日本語です。
さらに、外国語に翻訳した時、災害の危機レベルはどのくらい正しく伝わるものなのでしょうか。横軸のレベルごと、縦軸の情報ごとに使われている言葉の整合性は今後の改訂で改善を期待したいところです。

気象庁ではこうした防災気象情報をわかりやすくするため、キキクルを作りました。地図にこれらの情報を色分けで表し、10分ごとに更新、1kmメッシュという情報になっているので、色でどの場所がどの状況か「見てわかる」というのが画期的だと思います。つまり、防災知識が必要だったり、解説を読む必要がなく、直感的に「見て」わかるというのが、外国人住民にとってもわかりやすい。もちろん、日本人にもです。
(ただし、地図を見る習慣がない国もあるということ、自分がどこにいるのか地図からわかる、というのが大前提です)

でも、「注意」「警戒」「危険」「災害切迫」という言葉が使われています。何か違和感、わかりにくさを感じます。これらを漢字を元の言葉に戻してみましょう。

「注意」→「注意してください」
「警戒」→「警戒してください」
これらは行動指示ですね。

「危険」→「危険です」
「災害切迫」→「災害が切迫しています」
これらは状況を説明ですね。

行動指示と状況説明、カテゴリーが異なります。だから受け取り手は混乱し、「わかりにくい」と感じるのではないでしょうか。
「注意」「警戒」もその言葉だけでは何に注意して、どう行動すればいいのかわかりにくい。危険度が増して「危険」「災害切迫」と言われても、「で、どうしたらいいの」とつっこみたくなる。
色別にもしていることですから、警戒レベル1,2,3,4,5だけで十分かもしれません。

情報は行動につながることが大切です。
「やさしい日本語」の掲示物(ポスター)の作り方には、下記のような注意点があります。(赤枠は筆者の加筆)

<増補版>「やさしい日本語」作成のためのガイドライン
弘前大学社会言語学研究室 2013 より

日本語の普通のお知らせ文は、大切なことが一番最後に書いてあったりします。
一方「やさしい日本語」のポスターでは
②見出しは大きく書く 見出し語は動作を表す言葉にする
④伝えたい情報や行動を指示する言葉を「やさしい日本語」を使って書く
というのが注意点です。
これは通常のお知らせ文を作成する際にも参考になるのではないでしょうか。



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