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沖縄県知事選の深層心理を考えてみた

沖縄県知事選。

現職、玉城デニーさんの圧勝となりましたね。

要因について色々言われていますが、私個人としては、自民・仲井間知事時代の、あの一言が未だに尾を引いているのではないかと思っています。

「いい正月で~びる」

その一言が影響して、保守だったはずの翁長那覇市長が辺野古反対のオール沖縄知事として誕生、さらに、翁長氏亡き後の玉城知事に受け継がれたのではないでしょうか。

しかも、忘れかけていたこのセリフを思い出させてくれたのは、沖縄選出の
この人です。記事は当然、沖縄のマスコミやSNSで拡散されました。

河北新報8/26と福島民報8/26より

西銘前沖縄担当相が沖縄からの要望に対して「100億円下げたらどうか」と財政当局に言った。予算では沖縄県の要望より200億円少なく出てきた。自民党関係者は、佐喜眞氏が当選すれば年末に増やせばいいという。国の予算編成を利用して玉城知事の再選を妨害しようとする。職権乱用だ。法律違反ではないか。河北新報。2022.8.26

本来、若者は革新的。大人は保守的。これが普通ですよね。ところが今回、沖縄では若い人たちの多くが保守系に一票を投じました。ある程度の年代の人たち、本来は保守傾向の人たちが玉城知事に投票しています。

オリンピック、旧統一教会、国葬といった自民逆風も影響しているでしょうが、今回の逆転現象が起きたのは、かつての仲井間知事の、辺野古と引き換えの大規模予算を獲得した時の「いい正月で~びる」発言だと思います。

あの時、県民の多くが屈辱感を味わいました。基地受け入れで、金に転んだことをあからさまに喜んだ知事。沖縄人はプライドを失いました。

沖縄県民は、基地問題もだけど、同じぐらい経済が大切だということは十分わかっています。子供の貧困=親の貧困です。なんとかしたい。

しかし、これまでの沖縄の経済状況を俯瞰すると、基地と引き換えに天から降って来る金こそが、沖縄の経済的・精神的自立を奪ってきたのではないかと疑っています。

若い世代からすれば「辺野古の基地建設は絶対に防げないのに、反対する意味があるのか。無いのであれば、しつかり予算をもらって、県民のために役立てるべきだ」という正論になりますね。

一方の大人世代。現在の基地建設が止められないのは分かっているんです。しかも、地盤が悪いために、完成しない工事が半永久的に続きます。

本土の事業家が政治家のヒモ付きでやってきて、10年、20年、あるいはもっと、ジャブジャブ投入される予算に食いつき、そのおこぼれを地元業者がありがたくいただく構図です。

東京から遠く離れた沖縄の端っこで繰り広げられる中央利権の存在を誰もが感じています。それは、投入された予算の多くが本土企業に還元された2000年サミットと同じ構図に過ぎません。

もちろん、確かに、地元に落ちる予算は多い方がいいですよね。その予算が基地に左右される、つまりは政治に左右される。政府の言うがままとなり、基地に依存させるための道具だとしても、嬉しいか、どうか、ですよね。

世間には「中国が攻めてきたらどうする! 台湾侵攻の次は沖縄だ」との危機感もあります。

第二次大戦時、沖縄が激戦地になったのは、日本上陸の時間稼ぎに使われたからでしたよね。本土を守るための捨て石です。

沖縄戦は1945年3月26日の慶良間諸島米軍上陸から始まりました。主要な戦闘は沖縄本島です。沖縄の第32軍に課せられた任務は、南西諸島を守ることではなく、米軍を出血消耗させて沖縄に留めるための作戦でした。

住民を巻き込んだのは、日本軍です。その結果、全戦没者20万のうち9万人の沖縄県民が犠牲になりました。

元来、沖縄は日本ではありません。歴史観も文化も違います。東南アジアや中国と良好な関係を築いて貿易を発展させていました。この関係に目を付けたのが薩摩であり、結果として独自の王朝を潰され、日本に組み込まれ、日本人として生きています。

あるお年寄りが言いました。

「日本は沖縄に酷いことをしたよ。アメリカもだね。中国には虐められたことがないよ」

かつての中国と今の中国は違います。何が起きるか分かりません。しかし心情として、沖縄の年配者には、このような深層心理が眠っていることを理解しておくべきだと思います。

オキナワンプライド。

今回の知事選に言えるのは、これだけです。