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ザ・眼鏡職人

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那覇のビッグメガネから、眼鏡のマニアックな世界をご紹介します。一番目立つブランドアイコンというファッションアイテムであると同時に、ライフスタイルを左右する大切な医療ツールでもある…
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#レンズ

眼鏡のトリセツ(メガネを長く、心地よく使っていただくために)

【1】両手で掛け外ししてください 片手で掛けはずしするとフレームがゆがみ、見え方に影響します。また、折りたたむ時は左側のテンプルから折りたたむのが基本です。メガネはそのように作られています。 【2】水以外は苦手です 汗、果汁、油、ヘアスプレー、整髪料、化粧品、薬剤(トイレ、浴用洗剤)、洗剤、アルコールなどが付いたら、すぐに流水で洗い流してください。レンズやフレームの劣化、変質の原因となります。 【3】強い衝撃を受けると破損します 強い衝撃を与えると破損し、破片で眼や顔を負

メガネは万能ではありません【眼鏡職人の失敗】

ある日、今使っているメガネが合わなくてパソコン作業が辛いというお客様が来店されました。若い女性で近視の方です。 検眼調整して、お客様の仕事に合うメガネを10500円でお作りしました。 1週間ほどしてこの方が再度ご来店。 「手元は見えるけど、テレビが見づらくて困ってるんです。何とかできませんか」 「??? 念のために伺いますが、お年は?」 「49歳です」 おーまいがっ! 30歳前後と勘違いしたために、検眼時に年齢確認をしなかったビッグメガネ店長!!! 完全に加齢世

色で激変? サングラスの選び方【その1】

「夏だなぁ、眩しいなぁ、サングラスでも買うか~」といった感じで選んでいたサングラス。一番のポイントはデザインでしたよね。それとブランド。 「これ、カッコいいね~」 「こっちのほうが似合うかな」 こういったチョイスの仕方は、今や昔の話となりました。 気候変動も含めて、太陽が私たちに及ぼしているプラスマイナスの影響が理解されるにつれて、サングラスはファッション性と同時に、機能性を重視したものが好まれるようになっています。 もちろん、色の持つ効果についても、科学的に解明され

眼疲れ対応レンズ「トライガード」は、なぜ黄色をカットしたのか

ビッグメガネ那覇からの報告です。 先日、お客様の持込みフレームに、度無しレンズ(伊達メガネ?)をお入れしました、その感想がこちら(^^)v 「度無しレンズ(^0_0^)  でも、かけたらちょっとくっきりするのが分かります。  優れものだね。  トライガードにして良かったです。  やっぱ画面見てる時、目が楽。  嬉しい😊」 度無しレンズは、トライガードという製品です。 このレンズは、眼の視覚機能が衰えたり、眼を酷使して眼疲れを起こしている人に対して効果を発揮すると言われ

メガネレンズの進化を支える日本のコーティング技術

メガネレンズにはガラスとプラスチックがありますが、日本ではレンズの95%がプラスティックです。なぜでしょうか。 1970年代までは、ガラスレンズが主流でした。光学的に優れていますし、傷が付きにくく丈夫です。プラスティックのメリットは、軽くて割れにくいこと。しかし、屈折率(光を曲げる効果)がガラスより低いため、度が強いとレンズが厚くなる欠点がありました。 ところが1980年代になると、高屈折のプラスティックレンズが登場します。ゆがみの少ない非球面設計や反射防止・水ヤケ防止な

時代に翻弄されたカール・ツァイス

ドイツのツァイス(カールツァイス)は、精密光学のパイオニアとして、170年以上にわたって光学技術の分野をリードするレンズメーカーです。メガネ、顕微鏡、医療機器、そしてプラネタリウムなと高精度なレンズを世界に提供しています。 創業は1846年。ロベルト・コッホが1876年に、カール・ツァイス製の顕微鏡を使って炭疽菌を発見したことで知られていますが、それ以外にも多くのノーベル賞受賞者たちが同社の光学機器を活用してきました。 日本では、東郷平八郎が発売されて間もないカール・ツァ