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冬眠明けて

コロナのワクチンを打った。カンボジアで教師として働いているならば、外国人であっても無償で中国製のワクチンが提供される。

半年ほど前まではワクチンなんて怪しいと思っていたけれど、安全に国際線に乗れる確率を少しでも上げたくて、あやかることにした。ワクチンを打っていなければ国際線には乗れませんなどという日が来るかもしれない。

ここでは、公立高校がワクチンの接種会場として使われている。接種する前にいくつかの確認事項に回答するのだけれど、副作用やワクチンの効果についての確認を差し置いて一番最初の質問は「このワクチンは中国から来たものです」であった。中国へのイメージアップなのか、この未曾有の事態の中で色々な人の思惑が動いているのだろうなと思いながら、はいと記入する。

注射の痛みはインフルエンザの予防接種と同じようなもので、意外と大丈夫だった。一緒に受けたカンボジア人たちは恐らく人生の中で数少ない注射体験に少しハイになっていて、注射を打っているところをお互いに写真に撮り合い、接種後は「頭痛がする、何か熱のようなものが上がってきている、眩暈がする」などほぼ精神的なものじゃないかと思われるような症状を訴えていた。そして撮った写真をしっかりとSNSに投稿していた。そういうカンボジア人の盛り上がりやすいところが可愛くて大好きである。

そののち「辛い物は食べたらだめ、アルコールもだめ、インスタント食品もだめ、つまり工場から来たような食べ物は全部だめ、魚介類もだめ、炭酸飲料もだめ」と人によって言うことがまちまちな食品制限の説明を聞いて帰宅。

アルコールと辛い物は分かるとして、インスタント食品は大丈夫だろうとその日の夕食にインスタントラーメンを食べたがしっかりお腹を壊したのでやはりあの食品制限は本当だったのかもしれない。

あと、副作用なのかはよく分からないがとにかく眠たくて仕方がない。昼過ぎまで寝て、夕方に寝落ちして、それでも昼夜逆転生活にはならず、0時過ぎには寝てしまう。そんな生活が3日続いたが、今日ついに朝普通に目覚めることができた。とても気分が良い。

一か月ほど前から市内感染が拡大して学校が閉鎖になってしまった。この状況では恐らくあと半年は再開にならないのではないかと思う。この一か月はその状況に腹を立てて涙を流していたけれど、冬眠から目覚めて、やっとこの現実を受け入れて、出来ることをぼちぼちとやっていこうと思えるようになった。やっと、そのように思うことができるようになってきて、嬉しい。


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