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事案解決に向けてのプロセスを選ぶということ

山登りやハイキングなどでも、
いくつかのルートやコースがあることがあります。
どの道を通っても、目的地まではいけますが、
その道のりや体験は違うものになるでしょう。

紛争解決の場合、
相手のいることなので、
必ず当初の目的地に行けるという保証はないのですが、
結果の納得ということを考えたときには、
結果そのものについての納得度だけではなく、
結果に至るプロセスが大きな意味を持ってきます。

今日は、
事案の解決に向けてのプロセスを選ぶということについて
少し考えてみたいと思います。

弁護士のところに相談に来る人は、
何らかの行き詰まりの中にあることが多いですが、
「弁護士が入ってもめると困る」と
おっしゃる方もおられます。

弁護士が入る、ということは
単なるニュートラルな出来事ではなく、
「弁護士を立てる」という言い方に象徴されるように、
何らかの意図を伴うものです。
また、
法律の専門家が一方当事者の味方になるということですから、
当事者間の力のバランスが変わってくることにもなります。

だから、
相手との話合いを進める中で、
弁護士に相談していることは伏せて、本人が交渉するのか、
弁護士の名前を出して、弁護士が代理人として交渉するのか、
ということは、
一つの選択ということになります。

答えがあるというものではなく、
依頼者にとってどちらの進め方が好ましいだろうか、
ということを
話し合いながら考えていきます。

他方で、
「弁護士が入らないともう話が進まない」ことが
はっきりしているようなケースもあります。

ですが、
一言で弁護士が入るといっても、
弁護士と相手方の関わり方には様々な関わり方があり得ます。
協調的に進めるのか、
敵対的に進めるのか、
法律にのっとってニュートラルに進めるのか、
といったことです。

これも答えがあるわけではなく、
依頼者の行こうとする未来を見据えながら、
どのような進め方が好ましいだろうか
ということを相談しながら決めていくことになります。

当事者の間の任意の交渉だけで進めることが難しそうな場合は、
裁判所などの第三者に入ってもらう手続を取ることが
選択肢に入ってきます。

このときも、
裁判所による「判決」ということが意識される「訴訟」という手続、
裁判所で話合いによる自主的解決が目指される「調停」という手続、
裁判所以外の機関が運用することもあるいわゆる「ADR」という手続、
など、様々な選択肢があります。
また、
それぞれの手続の中で、
事件をどのように進めていくかということは
事案の内容と依頼者の考え等によって
変わっていくものといえます。

事案の解決に向けてのプロセスということを考えたとき、
結論がでるまでの間に、
様々なやりとりが積み重なっていくことになりますが、
やりとりのルートや方向性の少なくとも大枠は、
あらかじめ一律に決まっているものではなく、
選ぶことのできるものです。

獲得目標や結果そのもの、という視点とともに、
結果に至る「プロセス」という視点もお持ちになると、
事案について、
違う見え方がしてくるのではないかと思います。

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