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好感は伝染し、対角線上にあたらしい文化をつくる

COMEMOのテーマ企画の「こんなコラボあったらいいな」に便乗して、わたしなりの「コラボ」について考えてみました。

対角線上のコラボレーション

想像できるコラボよりも、対角線上にあって交わることが想像できないものに興味があります。近年でうまいな!とおもったコラボレーションは、日常あるあるを本格的なラウドロックサウンドに乗せて歌うバンド「打首獄門同好会」となんでも肯定してくれる癒し系のキャラクター「コウペンちゃん」のコラボ。

MVだけではなく、打首獄門同好会のグッズのTシャツのイラストになっていたりなどハードで一見癒しのイメージとは遠い音楽(一般的な癒しです。ある意味ハードな音楽からも癒されるというのは置いといて。)と最強の癒し系という対角線上にいるものがコラボした瞬間の化学反応は最強でした。打首を知らなかったコウペンちゃんファンにバンドの存在を知ってもらい、普段コウペンちゃんのイラストとは無縁のひとたちが喜んでコウペンちゃんコラボグッズを身に着ける。

これはライブの対バンイベントやフェスでも同じだと思うのですが、好きな人(バンド)の好きなもの(対バン相手)って、エピソードと一緒に語られると好感しか生まないと思うんですよね。普段交わることがない対角線上のお互いの畑でお互いの好感度を双方のファンに共有する、そんなよい仕組みの一例であると感じました。

キャラクターが企業とコラボする理由

昨年(2018年6月)のサンリオの株主総会での辻社長の発言が話題になったことを覚えているでしょうか。

大好きなのに売れずになくなってしまいそうなものがあったら、サンリオとコラボするように言ってほしい。そうすればコラボして売れるようにする。世界中みんなが仲良くするためにこの会社を作ったのだから、と。

この話を聞くまでは「やたらキティちゃんいるな」としか思っていませんでしたが、世の中の売れていない商品を盛り上げることはキティちゃんのひとつの使命であり、これが「キティちゃんは仕事を選ばない」と世間でいわれている理由なのだとわかり感動したのを覚えています。

そして、サンリオの公式サイトにはライセンスビジネスのページに以下のような文章が書かれています。

サンリオのキャラクターたちは、人々の心と心のふれあいを大切にした友情のメッセンジャーです。想いを伝える。様々な世代の生活者が時におり触れてきたサンリオのキャラクターたちは生活者とクライアントのブランドや商品の情報を伝えるメッセンジャーとして最適です。

なんか泣ける。好感のプラットフォームともいえるキャラクタービジネスで世界を支える姿勢に共感しかないのでした。サンリオのキャラクターたちと一緒に応援したい、そんな好感の伝染です。

東京メトロの多角的なコラボレーション

わたしが積極的にコラボすることでよい循環を生み出しているなと感じる企業のひとつが、東京メトロ(東京地下鉄株式会社)です。ニュースリリースのページには「こんなことまでやってたのか」という内容がたくさんのっています。とにかく多様。

東京メトロでは、オープンイノベーションの推進の一つとして、「"つながり"の創出を通じ、持続可能な地域社会形成に貢献する」というテーマを掲げ、外部連携による新たな価値の提供を目指しているそうで、スタートアップ企業との資本提携なども行っており、積極的に新しい場所をつくったりされているそうです。

そして、東京メトロと言えば、企業とのコラボだけではなく、この企画のように、利用者に路線を積極的に活用してもらうための導線をつくっているところが大事なポイントだなとおもいます。

謎解き街歩きは前からよくポスターを見かけるけどやったことないのでやってみたい。謎解きのSCRAP社もかなりコラボとしては汎用性の高いコンテンツですよね。これもお互いの畑のシェアだと思います。

そして、まさかのカツセマサヒコさんの小説とコラボしているの知らなかったです。めっちゃええやんってなりました。メトロで紡ぐ様々なストーリー。

おなじみ、石原さとみがかわいいFind my Tokyo. Find my Tokyoとは?のところの文脈センスが好き。(もはやコラボ関係ない)

公共の交通網という最強の資源を活かして地域や人を活性化する取り組みは、いままでただの交通網としてだけ利用していた利用者にもストーリー性をプラスすることによって新たな発見や付加価値を与え、それによって沿線を好きな人を増やし、地域の利用者が増える、コラボした企業の企画や知名度があがる、全てのステークホルダーにとって前向きな取り組みであると感じました。

というわけで、こんなコラボあったらいいな

やはり個人的に「新しい視点を与える」というコラボはすごくわくわくするなと思うので、もっと企業同士でも対角線上のコラボが増えて欲しいとおもいます。技術的なコラボや、経営的なコラボはもちろんおもしろいですが、いきなりそんな大きい話ではなくてもある一部からの協業だってできるはず。

個人的にはHR関係の業界にいることもあり、仕事でとくに促進していきたいのが、まったく分野の違う企業同士が採用の母集団を共有するという取り組みです。

たとえば、「理系の採用に困っている文系採用が主体の不動産業界」と「文系の採用に苦戦している理系採用が主体の製造メーカー」が共同で採用イベントを開催し、それぞれの業界しか志望していなかった学生たちに新しい可能性を提示したり、興味のある業界ベースでの職業選択ではなく会社としての取り組みや社風で選べるような、そんな当たり前のようでまだまだ流動化されていない部分を企業側から提示する文化をつくっていく。そんな取り組みがひろがり、理解が深まっていくといいなと思います。

(ライブの対バンみたいに人事がお互いの会社の好きなところを語り合えばいいと思うんだ。その好感は絶対伝播すると思うので。)

企業が単独で頑張るだけではなく、力を合せることでみんなでそれを文化として一緒に盛り上げていく。そんなエコシステム的な協業スタイル、企業の取り組みが増えていくことをこれからも期待しています。

「おいしいものを食べている時がいちばん幸せそうな顔をしているね」とよく言われます。一緒においしいもの食べにいきましょう。