私は人間。失格ではない人間。

ちゃんと躾の行き届いた小型犬が歩き回っていた。囲いのない芝生で繋がれもせず、首輪もせず歩き回っていた。芝生のギリギリ淵まで行くが決して芝生の外の歩道には出ない。
その寸止めがすごくて、関心していたら、そう躾してあるのでと、飼い主さん。わんちゃんよ偉すぎる。なんとも健気で立派だ。きっと人間は隙を見てか見ずしてか、歩道に出てしまう者は多い。人間はすぐはみ出す生き物だから。

賢いわんちゃんに出会って、人間の醜さを悟った数十分後、我々は山里の方を散歩していた。目の前には、いかにも通り抜けないでと言わんばかりのビニールテープが張られていたが、立ち入り禁止とも通り抜け禁止ともなく、安易に抜けられる状態だった。なんとなくグレーゾーン。ただ、明らかに問題のない抜け道。ただ、何か意味があってテープを張っていたはず。我々は一瞬ひるんだが、またぐには高すぎて、リンボーするには低くすぎるそのテープをくぐった。その時思い出したあの小型犬のこととあの時よぎった思い。散々人間の怠惰や弱さについて、失望したはずなのに、なんという様だろうか。あの小型犬だったら引き返したかもしれないのに。我々は、なんだかダメな雰囲気の醸し出されたよくわからない状況を自己判断で進んだ。 

強いて言う人間の素晴らしさはフレキシブルな判断でグレーゾーンに侵入しては、満を持してセーフだと豪語できるところ。そんな悪知恵を持っているところ。そう正当化させてください。ごめんなさい。
犯罪は犯さずとも何かしらの罪悪感は多少感じながら生きている。
動物はやっちまった時、罪悪感を感じるのだろうか。ペットはいたずらし、反省みたいなことがあった場合、多少なりその感覚はありそう。ただ、悪意はないはず。
人間は不完全且つ無意識的な悪意を持ってグレーゾーンで生きてる。全員ではない。ただ、そんな部分が大いにある気がする。

悪意の感じられる純粋な褒め方の半分は気恥ずかしい捻くれともう半分は素直で正直な気持ちでできている。だから、お願いだからそう捉えてくれ。
けなしたい訳じゃなく、褒めているのであって、失礼なこと言いたい訳でなく本当のことを言っているだけ。
伝わるかな~、いや、伝わんね~だろうな。
そこんとこどうなんだろな。
いいねとごめんねの同時多発テロ。

なんの話してたんだっけ?

人間らしさ?いやらしさ?素晴らしさ?

はい、愛おしいかわいげや浅ましい気持ち悪さ、色々な要素や感情を持っているのが人間。気づけるし、反省もできる。味を占めればくり返す。本能よりも理性を働かせるように努力している。優しい世界を望んでる。

あ~~~、自分はやっぱり人間だと認めざるを得ない。
皮膚病だと間違われてもおかしくない、変な毛の生え方をしているのが人間。
いや、進化の過程で大半の部分の毛を失って、特殊な部分的にだけ毛を生やしている。それが人間。
動物視点でも、地球外生命体視点でも、奇妙な外見が人間。
私は人間ではないと言いたくても、ごまかしが効かない。
だって、人間だもの。
          Between three men


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