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感情の居所

2018年頃、侑ちゃんはとても不安定でした。侑ちゃんの場合、あまり季節と気分は連動していなさそうです。ですが、下がる時期が来ると結構長い。過去の記憶なのか、妄想なのか、自分ではコントロール出来なくなり、苛まれ続けます。

その状態にあることを本人は気づけず、記憶と妄想に支配された悲しみや恨みや憎しみの感情が彼女を蝕んでいきます。

SNS上に、侑ちゃんのこんな書き込みがありました。

“「あの人将来絶対犯罪者になるよね 嗤」って
言われたけど、今のところなってないよ。
なってるかもしれないけど、自分の中ではなってない。
「この人居ると空気凍るよね 嗤」とか。
これを載せるのは悪口?”

…当時の彼女の怒りを感じる文章です。不当な扱いを受けている、と言う怒りの感情だけが先走っています。受け入れてもらえない悲しさが憎しみの渦になってしまうのです。

この文章の中に二人の侑ちゃんがいます。

●不当な扱いを受け、受け入れられない痛みと苦しみで怒りに打ち震える侑ちゃん

●(他人から見たら犯罪者に)なってるかもしれないけど、と人の目を気にし、「これを載せるのは悪口?」と同じ穴のムジナなら、言う資格ないよね、とばかりに自信のない侑ちゃん

です。

その夜に侑ちゃんと丸島先生が交わしたやりとりです。侑ちゃんは、自分が悪いのか?と丸島先生に聞きます。恨むことは悪いのか?恨まれるようなことをした人が悪いのではないのか?と言うニワトリが先か卵が先か、の無限ループにハマっていました。

2018年1月11日のやりとり

侑「昔の事だから言われた自分は、
言った人を許します。

これでも駄目ですか?」

丸「悪口じゃないかもしれないけど、恨み節だよね。

それを言った本人は、もう違う感覚で生きてると思うよ。良い人になってるかもよ。

思い出がフラッシュバックして来て苦しいんだね。
恨みに置き換えないで、怒りか慈愛にしたら良いと思うよ。」

侑「そうですね。

言った本人は幸せになっているので、あの頃とは違いますもんね(´∀`*)

最近上手くいかない事ばかりでネガティヴになりすぎました。

恨み節はやめて、
「自分も言われる理由があったなあ」と反省してみます。

最近毎日有難うございます」

丸「本山が悪いから悪く言われたわけじゃなくて、合わなかったから拒絶されたんだよ。

それが辛かったんでしょう?

どんな風に振舞っても当時の本山とその人は「合わなかった」んだから、反省する必要はないんだよ。

人に受け容れられない、って辛い経験だし、とてつもなく孤独で寂しい経験だよね。
そんなに強くいられないよね。

そこは痛いほどわかるけど、恨んだり呪ったりはちょっと違うな、って私は思ってるよ。

冬は色々気持ちが忙しいもんさ。」

侑「分かりました。
全部が全部自分が悪かった訳ではないのですね。

合わない相手と合わそうとする方が無理ですもんね。

独りは辛いですね。
独りじゃないから今までやってこれました。

呪いはしませんが、
恨んでいたかもしれませんね。
みんな成長するものですもんね!!
自分も成長しないと。

冬は気持ちが忙しい、
そうなのですね。」


統合失調症は人によって様々な症状が出るし、その経過も全く違います。診断は実は彼らが生きる有用な手段にはならず、変なレッテルや諦めを生む場合も多いです。彼らが幸せに生きて行ける福祉ではありません。彼らは、ずっと苦しいままです。

丸島先生が侑ちゃんに診断を貰うことを勧めたのは、社会的に生活面の支援を受けるためです。

生きていくことは苦しい。それは、誰もがそうです。

●過去のフラッシュバック
●他人との比較

この二つは1番侑ちゃんに要らないものです。そして、他の誰にも。

過去を語り始めたら丸島先生は今を見せようとします。今のあなたの感情、状況、環境、、、

他人と比較し始めたら自分を見るように言います。「集中、集中、、、」

終わっていることに心を捕らわれたり、同じ人生を歩んでいない赤の他人と比較することは不毛なのです。

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