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コロナ渦不染日記 #20

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六月六日(土)

 ○朝から半日、日記を編集する。
 今週一週間は、現場に出て仕事をしたので、それなりに疲れているのだが、それでもキーボードに指を乗せれば、軽快に指が動いて、気づけば夕方近くになっている。
 やはり、ぼくにとって文章を書くことは、こころのゆたかさをもたらしてくれる。書くべきことがあって、それをどんな言葉にして、どんな順序で文章にすれば、人に伝えることができるかを考え、実際に指を動かして、一つのパッケージとしてまとめることほど、楽しいことはない。

 ○夕飯の買い出しに出かけているすきに、下品ラビットが記事を書いていた。


 ○オンライン飲みをはしごする。これもまた「コロナ渦」であろうか。

 ○本日の、東京の新規感染者数は、二十六人。

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六月七日(日)

 ○少々暑いが天気はよい。

 ○ふと思いたって、浜の「タカナシ ミルクレストラン」にむかう。

 タカナシ乳業の直営レストランだけあって、おすすめチーズ五種の食べほうだいをはじめ、提供していただける料理は乳製品中心である。これがどれもうまい。以前は自分で取りにいくバイキング形式だったが、この災禍で、そこはメモを渡して運んでもらう形式になっている。それで、好き放題食べるというより、節度を持って食べられる気がするから、こういうのも悪くない。
 ランチはプレートで数種類、今日はチキンソテーを注文する。これはただチキンを焼くのでなく、クリームチーズをたっぷり塗って焼いてある。柔らかいクリームチーズにきつね色の焦げがついており、まろやかな味と舌ざわりに香ばしさがある。
 ランチにはドリンクがついてくる。ぼくと下品ラビットはコーヒーを注文した。そこはタカナシ乳業、そえられていたのはコーヒーフレッシュでなく、生ミルク。これが濃いめのコーヒーによく合った。

 ○優雅なランチのあと、のんびりと散歩。三駅ほど歩いて、ふらっと入った古本屋で、レオ・ペルッツ『アンチ・クリストの誕生』とプリーモ・レーヴィ『休戦』を入手。

 ○夜。さいとう・たかを『影狩り』を読む。

 江戸中期を舞台に、「大名家とり潰しのために、幕府が各藩に送りこむ忍者〈影〉と、それを狩るために金で雇われる凄腕たち〈影狩り〉との攻防」を描いたエンタメ時代劇で、さいとう・たかを氏の作品らしい、映像的な画面構成で語られる物語は、普遍的な「アタック&カウンターアタック」タイプのシリーズ構成。
 しかし、この第一巻においては、それらしいのは第一話のみで、あとは〈影狩り〉三人のうち、日光と月光というあだ名のメンバーが、〈影狩り〉のリーダー・十兵衛と本格的に合流するまでを描いた連作となっており、シリーズとしては親切なのかもしれないが、はしごをはずされたような気分になりもする。
 この構図は、フリッツ・ライバー『ファファード&グレイ・マウザー』シリーズの第一巻『魔の都の二剣士』にも似ている。


 ○本日の、東京の新規感染者数は、十四人。 



→「#21 蛇と熊」



イラスト
「ダ鳥獣戯画」(https://chojugiga.com/


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