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Netflix「三体」とフェルミのパラドックス

Netflix「三体」(3 body problem)
宇宙好きには堪らないロマン溢れるストーリー展開。
知らない人からすると「三体」という文字を見て
"なんだ??ジャンルなに?三つの体?ミステリーか?"と思った人もいるだろう。きっとわたしだけではないはずだ。

相手の正体は?どうなる?ブレインの行方は?と想像を膨らませて。そして400年後の地球を想おう。
あなたは400年後の人類のために戦える?

解説まではしないが
多少のネタバレもあるので、ご注意を。

あらすじ

ざっくりと。
人類が宇宙人とはじめて接触する話。
派手なアクションシーンで魅了するようなSFとは違い、見る者の思考を独占してくる中毒性がある。
深淵をのぞいてしまったが故に、暗闇に落ちていくような感覚を味わった。

ちなみに、なぜ現実社会では未だに地球外知的生命体と出会えていないのか?
地球にはさまざまな生物がいるのだから、この広い宇宙空間のどこかの惑星にも生命体が存在していると考える。でも出会えていない。この矛盾のことを"フェルミのパラドックス"という。
そんな物理学やら雑学やらを交えながら、本作について話していこう。

この作品の魅力

この作品なんと言ってもオープニングが最高。
え?そこ?と思うかもしれないが、オープニングを見ただけでこれから壮大な物語が始まる予感が止まらない。この数分数秒が作品の雰囲気を教えてくれる。

フェルミのパラドックス

第二話にイエ・ウェンジエが「フェルミの逆説ね」と言うシーンがある。
〜〜〜〜〜
「エンリコ・フェルミは同僚に尋ねた」
「銀河の星の数は1000億個」
「地球と似た星も多く知的生命体も多数いるはずだ」
「どこにいる?(But, where Is everybody?)」
〜〜〜〜〜
観測事実と実際の矛盾に関する指摘をしたのがエンリコ・フェルミだ。

このパラドックスが存在する理由についての仮説はいくつもある。
①宇宙人は存在するが、まだ発見されていない
彼らが私たちの存在に気づいていてもコンタクトを取ろうとしていないという可能性。
②宇宙人は地球に関心がない
彼らにとって地球は特別興味の湧く対象ではなく、ごく普通の惑星のひとつに過ぎないという可能性。
③政府か組織かが真実を隠している
実は既に宇宙人とコンタクトとれているが、極秘情報になっているという可能性。私はこれまでこの陰謀論を支持してきたし、「三体」ではある組織が宇宙人とのコンタクトを隠し続けていた。
④高度な文明はAIによって滅ぼされてしまう
知的生命体が高度に発展すると、必然的に人工知能(AI)の開発が進み、AIが一定のレベルに達すると制御が難しくなることで最終的には文明を滅ぼしてしまうという可能性。この説が最近では注目されている。

マンチェスター大学の宇宙物理学者マイケル・ギャレット教授が、「高度な文明は全部AIに滅ぼされてしまうため人類と地球外文明が接触できない」という説を提唱

Gigazineより

これはいかにもAIに侵略されるSF映画感があり、映画好きからすると堪らない展開だ。
どの惑星も辿る結末は同じということ。この仮説を裏付けるものとして、2045年問題という言葉がある。ここでは詳しく記載しないが、ITの仕事をしている身としてとてもあり得る気がしている。それほどAIは開発する過程がブラックボックスで未知数なのだ。

400年後の地球を想像できるか

「三体」で主(三体星人)は400年後に滅ぼしにくることになっている。すぐに襲ってくる訳ではないのだ。現段階ではスーパーコンピューターを駆使し、地球のあらゆるものを監視して人類の進化を徹底制御することで遠隔的に攻撃してきている。実際に地球に着くまでに時間が掛かるということなのか?彼らの寿命が気になるところだ。
そんな400年後の人類のために、主人公たちは戦っているのだが…400年後まで人類は存在しているのか?という疑問が湧いてくる。

人類滅亡までの時間は昨年と同じ「残り90秒」

米国の科学誌「Bulletin of the Atomic Scientists」より

1947年からマンハッタン計画で原爆開発に参加した科学者たちが核戦争の危険性を警告する目的で毎年発表されている終末時計だが、1日の終わりの深夜0時が人類滅亡時刻だ。
90秒という単位が実質どのくらいなのか分からないという方のためにこれまでの終末時計の推移をお伝えすると《1991年残り17分、2007年残り5分、2015年残り3分、2023年残り90秒》と少しずつ終わりに近づいている。
そう、もうあと一息。400年後まで人類が生き残っていたとしても救いようのない生き物になっている可能性の方が大きい気もする。

そんな生きているのか、守るべき存在なのかも分からない400年後の人類のために主人公たちは戦おうとしている。2424年のために戦おうと言われても私には全くピンとこない。

ブレインの行方

主(三体星人)は「人類が嘘をつく生き物だから信用ならない!滅ぼそう!」となるのだが、もしブレインが彼らの元に届けば彼らの気持ちは変わってくれるのではないかと思う。主人公たちオックスフォードの同級生5人の"ウィル"がその鍵を握っているような気がする。

この伏線は次シーズンで何かしら回収されるはず。
愛に溢れ、相手を思いやる気持ちの強いウィルの記憶を見てくれたら彼らは人間の愛おしさに気づいてくれないだろうかと小さな希望を抱いてしまう。
原作を読んでいる人からしたら「何夢見てるんだ、こいつ」と思われているのだろうか。それでも私はウィルの行動を見て涙が出たから。

まだまだ語りたいトピックはあるが、なんだか燃え尽きてしまったので、続きは次のシーズンが公開された時にでも。
それまでお元気で、虫けらども。

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