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とあるデート。ー名無しのふたりー

素敵な紳士と一緒に美術館へ行くことになりました。知的で落ち着いた年齢の紳士です。

私がずっと私が見たかった春画の浮世絵展です。

殿方と出かけるのは、いささか悩ましい展示内容ですが、私は浮世絵が好きなので、春画だろうとなんだろうと見たいものは見たいのです。それに枯れた年代の紳士です。

「あなたが好きな場所にご一緒しましょう。」と動じることなく快諾していただきました。

・・・

小さな美術館でしたが、展示物のチョイスが興味深く、楽しく鑑賞していました。

突然、ごつんと大きな音が鳴りました。

驚いて隣を見たら、紳士が展示物のガラスに思いっきり、おでこをぶつけていました。

「よく見えなかったんだ。」

紳士は、おでこをさすりながらシレッと言いました。そのカッコつけた様子にわたしは笑いを堪えられなくなり大笑い。

「歳を取っても男の子ですねぇ」と言いました。

「そうだよ。幾つになっても男の子だよ」と

紳士は開き直ったガキ大将のように言いました。

そして二人でワハハと笑いました。

・・・

それから2人で、見栄っ張りの男の子が描いたであろう、大袈裟に誇張された浮世絵を、笑いを堪えながら鑑賞しました。

いつか行ってみたい太田美術館。葛飾応為の作品を見に行きたいわたしです。

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