見出し画像

【ゼミ生お薦め本】『世界と私のAtoZ』

著者データ

竹田 ダニエル(タケダ ダニエル)
 1997年生まれ、カリフォルニア州出身、在住。そのリアルな発言と視点が注目され、あらゆるメディアに抜擢されているZ世代の新星ライター。「カルチャー ×アイデンティティ×社会」をテーマに執筆。「音楽と社会」を結びつける活動を行い、日本と海外のアーティストを繋げるエージェントとしても活躍。初の著書となる本書は、文芸誌『群像』での連載中からSNSを中心に大きな話題を呼んだ。

目次
はじめに 「大人の求めるZ世代像」への違和感
第1章 私にとってのセルフケア・セルフラブ
第2章 私にとっての応援のものさし
第3章 私にとってのオリヴィア・ロドリゴ現象
第4章 私にとってのSNSと人種問題
第5章 私にとってのAsian Pride
第6章 私にとっての仕事の意味
第7章 私にとってのスピリチュアリティ
第8章 私にとってのライブ体験
第9章 私にとっての美学とSNSの関係
第10章 私にとってのファッショントレンド
第11章 私にとっての恋愛カルチャー
第12章 私にとっての世代論
おわりに

本の概要
 Z世代って何を考えてるの? SNS、音楽、映画、食、ファッション。Z世代当事者がアメリカと日本のカルチャーからいまを読み解く画期的エッセイ!

この本をお薦めする理由
 本書はZ世代当事者の著者が、現代のカルチャーや価値観についてZ世代的観点から読み解くエッセイである。同世代だからこそ挙げられている事例を自身の感覚や環境と比較しやすく、日常を問い直すきっかけになるという理由で、Z世代には特に読みやすい本となっている。しかし、それ以外の年代にも是非読んで、学ぶきっかけにしてほしい。著者のいう「Z世代的価値観」を。
 「Z世代的価値観」は各トピックにそれぞれ示されているが、私が特に印象に残った1つを紹介すると、世代を超えた連帯についてのトピックで示されたものである。
 「価値観が多様で、流動的で、そして矛盾しているのがZ世代。矛盾を抱えていて、常に自問自答し、『生きづらさ』と『罪悪感』を感じて生きている。この感覚こそが、『自分たちはいつでも学んで改善できる』という姿勢につながっているのだ。」
 このようなZ世代のマインドを、さまざまなカルチャーや社会問題を通して学ぶことができる。
 また、「(Z世代より)上の世代が『過去の自分にあげられなかった社会をつくりたい』と、一当事者として考えてはじめて社会の『変化』が生まれるのではないだろうか」という言葉から、私たちの持つ「Z世代的価値観」を他の年代に共有することが、社会の変革につながりうるという希望を見出せた。なにも大仰な行動でなくとも、閉鎖的なコミュニティに閉じこもることなく、さまざまな年代の人と交流することで変わる意識も未来もある。
 Z世代にお薦めするのはもちろん、年代を問わずより多くの人と共有したい「Z世代的価値観」がたくさん詰った1冊である。
(Y. S.)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?