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ライティングにドラマトゥルグ制度を導入できないか?

note にはライターさんがたくさん棲息しているらしく、文章の書き方の記事が好まれるようだ。

そこで以前から試してみたいと考えている方法に関して、書いてみようと思う。

●ドラマトゥルグとはなにか?

近年演劇など舞台芸術の世界では、「ドラマトゥルグ」という役目の人を入れて作品を作ることが多い。
ドラマトゥルグというのは演出家や振付家などのそばにいて、作品を深掘りしたり、方向性について考えたりする際に側面から支援する人だ。

具体的な役割はそれこそ人それぞれで決まっておらず、まさに千差万別だと言える。いっしょに仕事をする演出家や振付家のタイプにもよるし、ドラマトゥルグ自体の得手不得手やバックグラウンドにもよる。

日本で第一人者と目されているのは長嶋確さんだ。長嶋さんの前職は、翻訳家だという。そのほかにアートマネジメントの世界から転入してきた人や哲学者から転身した人など色々なタイプがいるそうだ。

共通しているのはなんらかの専門知識を有していること。ただしその知識を提供することよりも、どちらかというと知識を使って本質的な問いを投げかけたり、議論の場づくりをするなどファシリテイター的な役回りを担うケースが多いという。


ーー長島さんは「ドラマトゥルク」を名乗っていますが、まだドラマトゥルクを知らない人も多いと思います。ドラマトゥルクとはどのような職業なのか、教えていただけますか。
 
役割が多様で一言では言えないのですが、簡単に言えば演出家や振付家と組んで、一緒に作品をつくるパートナーです。演出家はいろいろな最終判断を行わなければいけないのですが、それゆえに孤独なポジションでもあります。そこで、ドラマトゥルクのように別のレンズから物事を見ている人間がいると、考えられる幅が大きく広がります。そのためにドラマトゥルクは演出家に付き添っているわけです。
 
ーー具体的にはどのように作品に関わるのですか。
いろいろなパターンがあるのですが、まず演出家やプロデューサーと一緒に作品を選んだり、コンセプトを決めるところからスタートするパターンがあります。とにかく対話を続けて、作品が決まるとリサーチをして、場合によっては稽古にもずっとつきっきりということもあります。経済効率は完全に無視した仕事ですね(笑)。
 https://app.getpocket.com/read/2111891101


●ライティングにドラマトゥルグ制度を導入できないか?

演劇関係の人のインタビューを読んだりやシンポジウムに参加していると、当たり前のようにドラマトゥルグの人の話が出てくる。これが羨ましくて仕方がない。

前々から本を書くときは個人ではなく、チーム制が良いと思っていた。
このチームというのは「共著」ではなく、コーチやアドバイサーと著者の二人三脚体制のことだ。
経営者と経営コーチ、あるいはボクサーとセコンドのような関係と少しだけ似ているかも知れない。

こう書くと「編集者とタッグを組めば良いじゃないか」と言われそうだ。
しかし現実の編集者は多忙で、作品を書いているとき、どこまで相談に乗ってくれるか心許ない。

書籍を書いている最中に
「この部分、横に拡げられないかと思うが、なにか示唆はないか?」
「こういう内容の本があったら、ここに引用文を挿入するなりあらすじを紹介するなりするんだけど、そんな本を知らないか?」
「この部分に説得力を持たせるために、どうしたら良いと思うか?」
「これこれこういうデータが欲しいが、どこから探してきたら良いか?」
などいろいろ思うこと、調べたいことがあるのだが、編集者は時間や労力に制約があるので、あまり深く創作に付き合ってくれないと思う。
だからドラマトゥルグが欲しい。


●ふだんどうやって凌いでいるか?

ここだけの話だが、僕は「ヤフー知恵袋」や「教えてgoo」を創作や執筆のアシスタントと位置づけてちょくちょく使っている。

「こういう資料を知りませんか?」
「こういうことについてどう思いますか?」
など、自分一人で調べたり考えたりしても限界がある部分について、集合知を利用しているのだ。
Q & A サービスをドラマトゥルグ的に使っているとも言える。

とは言え、こうしたサービスを利用するのと生身の人間と語り合いながら作品を錬っていくのとでは、やはり大きな違いがある。

前作の『白い孤影 ヨコハマメリー』に関して言うと、書き始める前に講談師の田辺銀冶さんとカフェでお話しさせてもらい、その上で新作講談「ヨコハマメリー」を聴かせていただいたのがひじょうに役に立った。
言ってみれば銀冶さんがドラマトゥルグ的な役割を果たしてくれた訳で、この体験は大きかった。
ただ銀冶さんと二人三脚で1冊作りあげる訳にはいかないので、企画段階からフィニッシュまでずっと付き合ってくれるパートナーがいれば、と思った。

ドラマトゥルグがいたら、同書の第三部はもう少し読む人の琴線に触れることができたと思う。
本当は本のなかに以下のような要素を入れたかった。

後悔先に立たずだけど、自力でそこまで行くのは難しい。


●ドラマトゥルグ、やりたい人はいますか?

という訳で、ここから本題。

いま新しい本の企画を練っているところだけれど、もしドラマトゥルグを募集したら「やりたい」と言ってくれる人はいるだろうか?
もちろんギャラは払います。

ただしお金がないので、報酬は本の印税からお支払いという形になります。
とは言えドラマトゥルグの方といっしょに仕事をしたことがないし、出版界では前例がないはずなので、ギャラの金額に関してはご相談とさせて下さい。

もし興味をお持ちの方がいたら、ご一報を。

よろしくお願いいたします。


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