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「ヨコハマメリー学」への誘(いざな)い

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2018年12月12日発売の『白い孤影 ヨコハマメリー』(ちくま文庫)をより深く読み解く上でのヒントをまとめてみました。 宮崎駿の映画『風の谷のナウシカ』を論じた『ナウシカ論』… もっと読む
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バックストーリー:『白い孤影』が出来るまで

取材に20年かけた『白い孤影 ヨコハマメリー』。 この本が出来るまでのストーリーです。 ●「ヨコハマ幻想」を追うはずが、予想外の方向に ヨコハマ。1970年生まれの著者が子供だった時代、この街は特別な意味をまとっていました。 米軍基地を抱えた国際都市。 外国船がやってくる異国情緒溢れる港。 裏通りに軒を連ねるオーセンティックなバー。 犯罪映画に登場するような、海岸沿いにひろがる夜の倉庫街。 喧噪の中華街。 そんなものを見たい。 横浜に移住したのは1995年11月。

考えるきっかけを手渡す本と娯楽のための読書のギャップ

世の中には2種類の本がある世の中には2種類の本があると思う。あるいは本を書く動機は、大きく二つに分けられると言い換えても良い。 1.読者を楽しませるための本 2.著者の考えを広めるための本 厳密に考えれば、教科書や参考書、それからハウツー本のように「学ぶための本」も存在するだろう。しかしここでは、こうした本もあえて「2」に分類してしまおう。 なぜなら「2」は、書き手が持っている知識をシェアするための本、読者が学ぶための本だからだ。 一見しただけで1か2かが分かりやすい本

■『白い孤影 ヨコハマメリー』概要■

本書のテーマとなっている「ヨコハマメリー」とは、40年の長きにわたり横浜の街角に立っていた白塗りに純白のドレスという出で立ちの老婆。 一説によると「アメリカに帰ってしまった進駐軍の将校を待ち続けているのだ」とのこと。 その実彼女は街娼であり「将校専門の高級娼婦なのだ」ともささやかれていました。 いわゆる街角のローカル有名人の一人です。 約10年前に亡くなりましたが、死後映画になり、昨年、今年とつづけてテレビで取り上げられるなど、近年も人々の関心を引き続けています。 取材を

友田 健太郎・評 『白い孤影 ヨコハマメリー』檀原照和・著 【プロの書き手による 書評】

2018年の12月に本を出した。 世の中の著者たちは、いったいどうやって自分の本を宣伝しているのだろう? いろいろな方法が考えられると思う。 ・友人・知人への口コミ ・SNSやブログでの拡散 ・イベントをひらく  ……といったところが一般的か。 一通りやってみたが、届いている気がしない。 そこで歴とした文芸評論家に直接書評を依頼することにした。 友田健太郎さん。 慶應義塾大学文学部元講師。群像新人文学賞評論部門優秀作受賞者。書評媒体として有名な『週刊読書人(https:

販促チラシが出来ました

再生

AI朗読『白い孤影 ヨコハマメリー』(ちくま文庫)第一部(後半)

2018年12月12日発売の『白い孤影 ヨコハマメリー』(ちくま文庫)を著者自らAIに朗読させてみました。 「第一部」の後半をお楽しみ下さい。 (再生時間:82分20秒) 娼婦が変わった格好をしていたのではない。 変わった格好をしていた女が娼売をはじめたのだ。 白いドレスで40年間街角に立ち続けた一人の老婆。 「愛した米人将校を腰が曲がるまで待ち続けた」と噂された彼女だが、ほんとうに「待つ女」だったのだろうか? 年老いるまで、そのスタイルを貫いた意味とは? 地方出身の一女性が、街の都合で伝説に祭り上げられていく過程をひもとく。