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精密工学会次世代センサ/アクチュエータ専門委員会講習会(2023年5月26日)

はじめに

精密工学会次世代センサ/アクチュエータ専門委員会講習会が東京大学本郷キャンパス山上会館大会議室で開催された

プログラムは以下の通り
13:05~
講演1:産業技術総合研究所 岡本 有貴 氏
「MEMSアクチュエータの基礎とMEMSスキャナ開発」
講演2:Orbray株式会社 青柳 智英 氏
「モノの動きから電力を生み出す振動発電デバイスの取り組み」
講演3:埼玉大学 蔭山 健介 氏
「エレクトレットAEセンサ」

専門委員会会員オンリーの講習会である

次世代センサ・アクチュエータ委員会

設立趣旨
本専門委員会は、圧電材料や超磁歪材料、電磁材料、複合コンポジット材料等の機能性材料を利用したセンサ・アクチュエータの研究開発を推進し、社会貢献していくことを目的に活動していきます。超小型アクチュエータ・センサをはじめとして、ヘルスモニタリングシステム、医療超音波技術、エナジーハーベスティング等の応用技術や、セラミック、薄膜、ナノ構造体などの材料基盤技術に関する研究交流や、産学間のコミュニケーションを活性化させていく予定です。
会費
正会員の分担年会費は大学・研究所に所属する個人会員2,000円、
法人会員(壱口10,000円)十 口以上
入会方法
入会申込書を記入し、,以下にメールで申し込み
ngsa[at]control.mech.saitama-u.ac.jp

その他詳細は会則をご覧ください

講演概要

会員には講習会のスライドも配布されましたが、本noteでは概要と感想のみを記載するに留めます

講演1:「MEMSアクチュエータの基礎とMEMSスキャナ開発」

産業技術総合研究所 岡本 有貴 氏

1.MEMSの現状・市場

作り方:積む→リソグラフィ→削る
駆動方式:静電気がメイン
市場:加速度・角度センサ、プロジェクターのミラーDMD、インクジェット
2兆円(自動車の5%)
高周波フィルタ(圧電素子、高速通信用途)の伸びが顕著
販売はBOSHが独走。製造はソニーとROHMも健闘
(感想:スライド4枚で現状がわかる!)

2.MEMSアクチュエータの基礎

薄膜シリコンから厚膜シリコン(不要方向の変形抑制)になり、加速度センサが実現した
Q値が高いので共振が基本
フッ化水素で削る→深掘り技術で高アスペクト比(バルクマイクロマシニング)

3.圧電MEMSアクチュエータ

圧電素子は静電(ナノNm)の10倍の駆動力
水晶振動子や窒化アルミニウムもあるが、メインはピエゾ
ピエゾの塗布はスパッタ法とゾルゲル法がある
(感想:産総研明渡純先生が発明した「エアロゾルデポジション(AD)法」は、まだ使われていない模様)

4.MEMSスキャナへの応用(岡本先生の研究)

MEMSスキャナ(次世代FMCW)
LiDAR(アレイ、MEMS、機械式)の特徴比較
LiDARの評価指標は(周波数x面積x角度)
評価指標を大きくするさまざまな工夫

5.産総研のご紹介

日本中に拠点
博士研究者が2300人
つくば東事業所にMEMS量産クリーンルーム

Q and A
Q:基板はシリコン以外、樹脂などは考えられないか?
A:樹脂だと変位は大きくなるが、課題も多い

講演2:「モノの動きから電力を生み出す振動発電デバイスの取り組み」

Orbray株式会社 青柳 智英 氏

会社紹介
並木精密宝石→アダマンド並木精密→Orbray
(感想:並木精密宝石はJAXA共同研究「マルチステータ型耐環境高効率電磁モータの研究」でドローン用モータを開発したので会社訪問もした。アダマンドと合併したため事業化が頓挫した案件なのだ)

無電源センシング
100mWあればセンサデータを飛ばせる
電磁誘導方式(実物が回覧される)
試作品のラインナップ紹介「アプリケーションは置いといて、とにかくさまざまなタイプを試作した」ユーザー側から「曲線が、クルーザーの発電、波力発電」など提案してもらう

商品化の事例
駐車場の管理(電気代だけで月100万円)
エリアの入庫・出庫カウントもできる

Q and A
Q:駐車場システムの寿命は
A:1000万回以上。実地実験中
(コメント)家庭の配線が減りますね
Q:車か人かの判断は
A:磁気センサ
Q:電圧マッチングは
A:一般的な安価な回路
(感想:磁歪発電と比較してどうなのかな?)

V-GENERATOR

講演3:「エレクトレットAEセンサ」

埼玉大学 蔭山 健介 氏

エレクトレットとは
電界が分離される素材(磁石の電気版)
用途:マイクロフォン、集塵フィルタ(マスク)、発電素子
特徴:機械的な振動の送受信が可能。空中・生体・軟材料など、低インピーダンス素材に適している
広帯域(1Hz~300kHz)超音波センサ

生体の発生する微少音を捉える
柔らかいので接触して計測可能(ゴムバンドで取り付けるだけ)
心臓・脈拍(1Hz~数100Hz)
光合成・発酵(数100Hz~100kHz)
植物の茎(10kHz~1MHz)

さまざまな計測
トマト:換気時間を変更して収穫増
いちご
酒蔵
ラン藻:BlueCarbon計画で巨大市場の可能性
脈拍・腹筋音

Q and A
Q:連続的なAEは出るのか
A:ものによるが、フィルタリングで突発的AEだけ観測している
Q:AEの回数以外の情報は取っているのか
A:簡単化のため回数のみ測定している
(感想:最近非常に注目されている「植物との会話」の一助になりそうだ)

おわりに

講習会は午後4時30分に終了し、懇親会会場に移動
山上会館には料亭が入っているので、こちらが懇親会会場かと思っていたら、違いました

懇親会会場は2号館内にある松本楼

東大、宴会会場が充実しているなと思って調べたらこんなにたくさんあるんですね
(感想:岡山大学もレストランとコラボすればいいのにな)

東大のレストラン一覧

午後5時から懇親会が開催され、本委員会の創設メンバーで、現在副委員長の森田剛先生も懇親会に駆けつけてくださいました
いや~、やっぱり対面開催はいいですね!

産総研の岡本有貴先生は、私が産総研時代を過ごした東事業所所属!
しかも、「センシングシステム研究センター」の前身は、私の所属していた「先進製造部門」!知人がかなり重複していた。

どうして面識がないのかなと不思議に思ったら
「やのさんが在籍していた10年前、私はまだ産総研入所前です!」
時の流れは速い


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