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好きな道具の理想と現実

なんとなくずっと欲しくて、それでもまだ買わずにいて、おそらく購入せずに終わるであろうものはそれなりにあるが、その一つにポメラ(DM200)がある。

文章を書くことだけに特化した端末で、2008年に「DM10」が発売されて以降、たまに新機種が発売されていて、現在も販売している機種は2016年に発売されたDM200だけだろうか。2018年にDM30が発売されたが、現在は生産を終了しているらしい。新製品が発売されないのは事業として既に終了しているからなのか、DM200を一応の完成された機種として据え置きし、継続して販売を続けるつもりなのか。前者であればちょっと寂しい。購入していない人間が言うのもなんだけど。

ポメラにはインターネットに接続する機能もなく、ただ文章を書くためだけの文房具のような端末であることから、文章を書くことのみに集中できることが特徴で、小説家や小説家を目指している人に愛されているイメージがある。どうもそのあたりに自分にとっての憧れがあるようだ。

文章書くことを仕事としていて(趣味でもいいが)、その文章を書くためだけのお気に入りの道具がある。その道具に触れるだけで文章を書くことだけに集中して、他のことが頭の中から抜けていくような感覚を味わえたり、道具によって無理やり集中させられる環境が作れたり、散歩中におもむろに取り出して書き始めたり、してみたい。

まあ妄想である。

仕事柄、何を伝えるにも情報のソースを文章と併せて記載するクセが付いていることから、個人的なnoteを書くにしてもすぐ裏取りをしたくなるし、リンクもなるべく貼りたくなる。身の内から吐き出されるだけの文章を書くこともあるが少なく、書き上がった文章についても自分が利用するあらゆる端末からアクセスできることを望むし、共有の手間もなるべく省きたいので、ネット経由でアクセスしやすいツールやサービスを利用しがちだ。

こうした趣向のほぼ全てがポメラと合わない。合わないが故に購入に踏み切れない。残念だ。いやまあ、どっかで購入するかもしれないけど。

思えば、自分にとってのポメラのような状況は、日常的に試しているWebサービスやSaaS等でも頻繁に起きている。

発想や思想が魅力的だったり、自分のワークスタイルには合致していても、既に社内で同種のサービスを利用していたり、多用している他のサービスとの相互運用に難があったりすると使えない。頑張って使ってみることもあるが、何らかの強制力でもない限りは大体続かない。仮に使えたとしても、それによってサービスが持つ本来の魅力が失われてしまうこともある。

なかなか難しい。難しいからこそ探す楽しみも欲求も生まれているわけだけど。

夢を感じる道具に出会い、あれこれと妄想したり試したりして挫折し、また探す。時には奇跡的に理想と現実が合致する道具を見つけ、宝物のような存在になったり、ワークスタイルの変化や提供元の都合でまた使えなくなったり・・・

まあいいか。楽しいし。

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