to C アプリ開発運用 から to B SaaS開発現場に転職したデザイナーの苦労話
株式会社LegalForceの製品開発ユニット所属デザイナーの矢野りんです。2021年11月1日に入社したルーキーの私が入社1ヶ月目で感じたリーガルテックのあれこれについて(なんとか)お伝えします。
どうも、まだ世界は変わりそう
私は足掛け24年程度のデジタル制作業務経験がある、いわゆる”妙齢”です。そのうち約10年間は「スマホアプリ」のデザイナーとして、Simejiという若年層をターゲットとしたキーボードアプリの開発と運用を担当していました。
アプリ開発を始めたばかりの頃は「持ち運べるインターネットや〜!」「位置情報で地図に絵が描ける〜!」などと今でこそ当たり前のことに心躍る毎日でした。クラウド技術によって無限と言って良いほどの量を持ち歩けるようになった写真や音楽や動画。あれから10年で本を本屋に買いに行く習慣や、遠方の友だちに会いに行く機会は減ってしまったり、特別なイベントになりました。
アプリ開発を始めた頃は明確に「これで世の中は変わる」とはっきり感じましたし、実際に「世界は変わった!」という実感がありました。しかし変わってしまった世の中をアプリの運用現場の中から見ていると、もうこれ以上世の中は変わらないのでは?という気分になることがありました。今思えば単に同じ場所に10年もいたせいでよく分かっていなかったに過ぎないのですが。
そろそろ別のことがしたいと感じ始めて周囲を見渡し始めた2021年。Twitterでは48歳エンジニアさんが転職まで100日を宣言し、周りの知り合いはSaaSの現場に移り始めていました。明らかに人材が動いている様子はスマホが登場した時にも似ていて「どうも、まだ世界は変わりそうだなあ」と感じさせました。
そんなおり、友人の紹介で知り合ったエージェントさんを通じて知ったのが現職の株式会社LegalForce(以下LegalForce)です。
開発者と専門家、そしてデザイナーとがつくる未来
LegalForceは「全ての契約リスクを制御可能にする」ことを目標に2017年立ち上がったリーガルテック企業です。法。契約。馴染みがないように思えるでしょうか?実は、私たちの普段の生活に契約はけっこうカジュアルに関わっています。例えばお仕事をするときには雇用契約や受託契約などに同意していますね。人と人とが協力し合って何らかの成果を出そうとするときには、お互いが何か(時間とか技能、お金がわかりやすいですね)を差し出して交換し合う約束をするもの。その約束の詳細を確認して円滑に実行に移すために役に立つのが契約です。
その契約というプロセスのフロントに立っているのが法務の専門家という立場の人々です。主に組織の活動においては法務部門が大きい役割を担っています。
人と人との約束ごとを円滑に。と表現するといろんな人の話を1つ1つ丁寧に訊いてアドバイスするだけのお仕事のように聞こえます。しかし実際は膨大な下準備や雑務が不可欠です。大量の紙の資料から過去の経緯を探して目を通したり、契約の下書きが今、誰の手元にあってどこまでチェックされたのかを把握したり、1つの契約に関連する複数の資料を束ねて保管したり、過去修正した箇所にまた確認して追記したり...。
開発現場やデジタルコンテンツの制作に関わったことのある人ならこれらの手続きを見てこう思うかもしれません。
「そんな手続きなんか早くデジタル化してリポジトリに放り込めば良いのに!」
私は契約のワークフローを知るにつれ、契約というプロセスや法務の業務推進はデジタル化と親和性が高いかもしれない。そしていったん法務業務がテクノロジーでシンプルになったら、そのインパクトはスマホがもたらした変化と同様に、不可逆な変化になるはず...!とワクワクするようになりました。
LegalForceには経営陣をはじめ開発現場に多くの法律の専門家が在籍しています。CEOの角田さんはなんと現役バリバリの弁護士です。いわゆる、深いドメイン知識を持った専門家がいる開発体制が築けています。そんな彼らにはもっと先の未来が見えていて、それはワークフローの効率化に止まりません。国の法律などの周辺環境や契約を取り交わしたお互いの立場の変化に伴い、少しずつズレてほころびが出てしまった契約の問題や、将来出るほころびを予測すること。さらに問題の発生を知らせたり問題に対処するための指針を示す仕組みを作り、契約に関わる体験をアップデートする。そのために製品開発する。そのためのチームを募っているわけです。
これはヤバいところに来たなと感じています。私はまだまだそのビジョンに追いつけてはいませんが、自分も経済活動に不可欠な契約プロセスをバージョンアップする一助になれるはず!
私のミッション
私のミッションはLegalForceの製品ラインナップの1つである「LegalForceキャビネ」というAI契約管理システムの製品デザインの最適化です。製品開発デザインユニットのリーダーで、弊社の主力サービス「LegalForce」のデザイン責任者である鈴木さんからはターゲットユーザ層の潜在的なニーズをしっかり汲み取った設計を実現してほしいという要望をいただいています。コンシューマアプリ開発での経験を積極的に活かしたいところです。
入社してすぐ既存ユーザーへのインタビューを毎日のように設定し、ターゲットユーザーの立場に対する理解の掘り下げ、置かれている周辺環境がわかる情報の収集、発言から汲み取れる心情の整理を2週間ほど続けています。
直近では目的の契約書の検出と閲覧といった既存の機能のブラッシュアップをしつつ、未来の契約に関わる体験のアップデートに応えるデザインの準備を始めました。
LegalForceには監修のような形ではなく、製品の開発や設計を行うPdMの立場にも法務出身のドメイン知識豊富な人材が多く在籍しています。動産売買契約を不動産売買契約の誤字だと勘違いしていた程度に知識の浅い私ですが(赤字を入れるところでした)、チームのフレンドリーかつフラットなサポートが受けられているので、ちゃんとデザイン業務にフォーカスできています。
苦労はSaaSを使い倒すこと
苦労があるとすれば、開発現場が非常に先進的で私が慣れ親しんできた「制作は1つか2つのツールに向き合っていればよし」ではないという点です。SaaSの現場はSaaSを使い倒す。これです。リモート中心の環境でもスムーズに開発を進める目的で、弊社ではGoogle Workspace製品群をはじめコラボレーションツールのMiro、タスク管理のJira、コミュニケーションのSlack、設計のFigma(ツールですがAdobe XDも)、そしてあらゆるナレッジの保全と構築にNotionと、ブラウザが悲鳴をあげる勢いでチーム全体がサービスを使い倒しています。
これまでこんなに大量のサービスを横断的に活用した経験がなかった私はブラウザのタブを開いて閉じるだけで1日終わったんじゃないか。なんか、私は私が思う以上にアホなのではないか。と一時期思ってしまうほどでした。どの製品も優れた設計を持ちますので数日でなれましたが、およその機能を必要十分に把握するには1週間ほどかかりました。その点だけがちょっとした苦労でしたが現在はなんとか克服済みです。
多様性を歓迎する組織
もう1つLegalForceの仕事環境にはおもしろい特徴があります。現場の年齢層や経験が多彩なところです。まだ若い組織ではありますが、まとめ役ができる経験豊富なプレイヤーや、マネジメントメンバーもどんどん増えています。男女比率も同程度です。
多彩なメンバーと協力するためには相手との違いを尊重しつつ、同じ目標を常に意識して仕事に向かうことが大切です。それが自然とできているチームだと感じます。そんな雰囲気が醸成されるのも、多様性を歓迎する組織だからでしょう。経験が浅い若い人も(私のような)”いわゆる妙齢”でも、自分のスキルにある程度自信を持ち、やる気があればやりがいを感じられる現場です。 これから自分のできることを十分に発揮して、組織の成長とビジョンの実現を支援したいと思っています。
そしてもっと多彩な仲間に集まって欲しいです!一緒に契約に関わる体験をアップデートさせましょう!
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