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ヒアリングでインサイトを得る方法について

去る2022年12月17日(土)「ヒアリングでインサイトを得る方法について語り合おう」と題し、LegalOn TechnologiesデザインチームでDesigner Meetupを開催しました。

本ブログでは当日お話しした内容を共有します。
こちらが当日使用したスライドです。若干説明を追記しています。ダウンロードして自由にご利用ください。

インサイトって何?

“the capacity to gain an accurate and deep understanding of someone or something.”

Oxford Languages

インサイトはめちゃくちゃ日本語に訳しにくい言葉です。
「消費行動のインサイト」と記載してしまうことが原因で「インサイト」が消費者側にあるものとか、消費者の声そのものと説明されてしまうことがあります。上記の説明に沿って考えれば「インサイトとは、インサイトを得ようとした行動の主体側が持つ気持ちとか、知識の許容範囲のこと」です。ので、「消費行動のインサイト」という説明をより正しくするなら「消費者調査実施者が、消費者の行動原理や状況を深く理解しようとして、その理解の幅を広げるために拾い集めたもろもろのヒント集と、ヒントをもとに発見したこと」みたいな説明になるでしょう。
この「調査側が発見したこと」が、ユーザーリサーチでいうところの「ヒアリングから得た発見」にあたります。こう説明していると、わざわざインサイトと言わずに「キャパ」とか「知識の幅」とか言ったほうが正確かもしれないですね。

やるべきことはインプットを味わう感性を磨くこと

記事の冒頭でインサイトを「知識の幅」と言い換えましたが、知識の幅とは単に「ものしり」的な話でもなさそうだというのが経験を積むなかで少しずつわかってきた気がします。認知心理学とかデザインプロセスのメソッドについてどれだけ多くの知識があるかということよりも、大切なのは(TO Bであれば)目の前の顧客とその顧客が置かれている環境、および顧客の仕事についてどこまで興味を持って情報を拾うことができるかではないでしょうか。
そのような行為を指してよく「顧客解像度を高める」みたいに表すことがあります。画像処理技術の場合いくら解像度が高いデータがあったとしてもGPUがしょぼいと処理できないですね。これも解像度と処理能力を同時に高めることと捉えた方がよさそうです。
また、拾った情報を咀嚼するためには感性が必要です。感性はハウツー的知識よりも人間が作り上げた文化を基盤とした倫理とか芸術、歴史などいわゆる「人文」に対する興味によってある程度鍛えられると思います。勉強はさほど好きじゃなかったけど音楽やアートや人間が大好き〜という人はきっとデザイナーという仕事がうまくやれると思います!引き出しが多い人ほど、相手と対峙した限られた時間で、転がっているヒントを拾い集める量が変わってくるでしょう。あとは勝手な解釈でオレオレストーリーを作り上げてしまう罠に注意して、相手が主人公の風景を心に描けるようにお互い精進しましょう。

いただいた質問内容で未回答のものについてフォローアップ

当日いくつか質問を頂戴していながらも、時間の都合で回答ができなかったものについてフォローアップいたします!

  • ヒアリングの実施期間はどのようにその期間を設定されていますか?機能のリリースターゲット日から逆算する形で設定されたりするのでしょうか?

    • LegalForceキャビネチームの場合、ヒアリングはDiscoveryという新規機能および機能改善方法探索フェーズにおいて実施するタスクという位置付けです。よって探索の結果Delivery(開発フェーズ)に企画が渡ってリリースとなるため、必ずしもヒアリングした内容がリリースされるとは限りません。ただ、過去の実績上1つのイシューに対して1ヶ月間以上ヒアリングに時間をかける計画で進めることはなく、現状のロードマップから導いたマイルストーン期間にてらしても、1ヶ月以上はかけられなさそうではあります。

  • ヒアリングが必要な人数の理想は5人とのことでしたが、それはマッピングで聴きたいとしたすべての属性の方の合計人数でしょうか?もしくは各属性で5人ずつ聴きたいということでしょうか?

    • 1度のヒアリング計画で集めたい理想の人数となります。5人のうちで属性をばらけさせるか、集中させるかは、あきらかにしたい内容により異なりますが、5人くらいが、かけられる時間的なコストと得たい情報量のバランスがよくなるように思います。

  • まとめの作業は何人ぐらいで作業されていますか?

    • 基本的にDesignerとPdMとで実施します。当日参加したデベロッパーも補足をしてくれます。

  • プロダクトデザイナーの良し悪しはどうやって決まると思いますか?

    • UI設計の知識がありディベロッパーと並走することが得意なビルダー気質のあるデザイナーはDeliveryフェーズに強く、頼りがいがあります。ユーザー調査の結果を見つつ、PdMと一緒に製品全体の機能バランスを整えることが好きなデザイナーはDiscoveryフェーズに強くてチームのハブ的な役割を担うでしょう。持っている能力は人それぞれですが、常に開発チーム全体のパフォーマンスを最大化する努力をしながら、ユーザーの利便を第一に考える気質がある人が結果的に良い製品を生み出せると思います。

  • ユーザーヒアリング以外でもインサイトを活かせる場面はありますか?

    • 冒頭説明したようにインサイトはそれを得る側のキャパを意味しています。ある状況を理解するためにインサイトを拡張することは普段の生活でも有効だと思います。例えば子供が外出時に不機嫌になることの理由は体調不良か睡眠欲が原因であるケースが経験上多いです。それを「私に不満があり反抗している」と解釈するか、発熱を計測して直ちに必要な処置をするかでは結果も気分も落ち着きかたが違います。

LegalOn Thecnologiesでは一緒にDiscoveryやDeliveryをする仲間を募集しています!

一緒に開発を通してインサイトを広げていきましょう!


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