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【連載小説】無職の僕が大企業の社長を選ぶ話(あとがき)

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 この小説は私にとって初めての連載小説であり、初の長編小説であり、初めて一般公開した小説です。

 最初からnoteで連載することを想定して執筆しており、小説投稿サイトで一般的な一話五千字ではなく、一話二千文字前後で書きました。これは私自身がnoteで抵抗なく読める記事の長さが二千文字程度だったので、その感覚に合わせました。読者層もnoteユーザーの二十代後半から三十代前半の男性を想定しました。

 物語は、女性ばかりの集団に一人放り込まれた男性の視点から見た喜劇と言う、いわゆるハーレムもののフォーマットをベースに、企業ものや推理もののエッセンスを入れました。これらはあくまでエッセンスだけであまり重要視していません。スミさんの秘密が早々に判ってしまったりするのも、その要素を重視してないからです。執筆にあたり企業や遺産相続などについても一通り調べましたが、そもそも重要視していないし面倒くさいので詳細はぼかしています。その点では、企業もの要素や推理もの要素を期待された読者には申し訳ない事になっているかも知れません。

 登場人物の共通コンセプトとして「全員嘘つき」と設定しました。登場人物全員が何らか嘘をついているか真実を隠している設定です。名前を設定した人物で嘘をついていないのは窪川霞ぐらいじゃないでしょうか。この設定は作中で上手く機能したんじゃないかと思っています。実際、この設定のおかげで作者が何もしなくても勝手に山場が出来るので、お話の展開が非常に楽でした。

 探していた人物が、実は最初から主人公の近くにいたと言う展開はゲームの「ポートピア連続殺人事件」からの着想です。私はこのゲームをプレイしたことはありませんが、「犯人はヤス」というフレーズやストーリー展開はあまりにも有名ですので参考にさせてもらいました。私は人がバタバタ死ぬ話が苦手なので、推理小説をほとんど読んだことがありません。「名探偵○ナン」すら避けているぐらいです。推理小説が苦手な私が知っている数少ない推理要素です。

 遺産と遺言状から推理小説が想起されますが、実は、このお話はアニメの「一休さん」のあるエピソードから着想しました。親が遺した七頭の馬を三人の息子が分け合う話で、このエピソード自体も「十七頭のラクダ」と言う説話が元ネタになっています。遺言通り馬を分けられない三兄弟に頼まれた一休さんはとんちで解決するのですが、実は遺言の真意は別の所にあった、と言うオチで、まさにこの小説の展開そのものです。

 初の長編と言う事で文体や表現上で私なりの実験を色々しています。元々長編を書くのが苦手なので、今回の執筆にあたっては五百字ぐらいのエピソードをいくつか寄せ集めて一話を構成する手法を採りました。書き進めて行く内に、出来るだけ簡潔な表現を求めて、聞きかじっただけの俳句の技法とかを面白半分で使っているので、後で読み返してみると説明不足の所や分かりにくい所が多くなってしまい、読者の想像力に大きく依存する作風になってしまいました。

 作品の出来よりも完結させることを目標に執筆してきたので、無事最終話を迎えられた事に安堵しています。書き上げた達成感と共に、色々多くの事を学ぶ事が出来た気がします。こんな大変な事を、毎月レベルで長編を発表している人たちは一体どうやってこなしているのか不思議でなりません。このジャンルではもうネタを持ち合わせていないので、続編を書くのは難しいかも知れません。チャンスが有ればリライトかスピンオフでも出来たら良いなと思います。

 拙いお話に最後までお付き合い頂いた読者の皆様に感謝申し上げます。次回作の準備が整い次第、またnoteで公開させて頂きたいと思います。

 ありがとうございました。

 二〇二一年八月 夜野ベラ

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