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続・私がVAIOを使い続ける理由

 先日、noteのおすすめに出てきた記事をザッピングしていると、大学生とみられる方が書いたnoteで、これから大学生活を送る人に向けてどんなパソコンを選んだら良いか指南する内容のものがありました。その中で、こんな記述がありました。

VAIOやDynabookのようなその他国産メーカーパソコン

 コメントに困ります。もし貴方が国粋主義者なら買うといいと思います。デザインはいいんだけど…。値段が…。平気で15万越えられるとねえ…。

 国粋主義者(笑)

 VAIOやDynabookは既にターゲットを企業ユーザー向けにシフトしています。VAIOはソニーにも販売ルートを持っているので一部コンシューマ向けを残していますが、それでも70パーセントが企業向け。Dynabookでは100パーセント企業ユーザー向けです。これからパソコンを買おうとしている学生さんがVAIOやDynabookを選ぶ理由は特に無いと思います。VAIOのコンシューマ向けも、個人事業主とか業務ユーザーの2台目需要とかの実質業務用ではないでしょうか。

 業務用とかプロ用と聞くと特別感がありますが、コンシューマ向けと企業向けでは求める方向性が違います。コンシューマ向けではユーザーの用途が明確でないことが多いので、メーカー側もハードウェア性能を前面に出した販促をおこないます。よくCPUは速ければ速いほど良い、メモリとストレージは大きければ大きいほど良いなどと言う人が居ますが、これは企業向けでは当てはまりません。不要な性能は価格や稼働時間に影響するので、用途を満足するだけの性能が有れば余計なものは極力無いほうが良いからです。

 また、業務用PCは後述する税制上の理由のため、3年毎に更新が発生しますから、コンシューマ向けのように「高スペックPCを買っておけば、将来に渡って長く使える」とか考える必要がありません。その時必要な物を必要に応じて買えば良いのです。

 業務用PCは高価なものが多いですが、高価だから良いとは限りません。軽自動車と大型トラックに例えれば分かり易いでしょうか。大型トラックは軽自動車より馬力があって荷物もたくさん積めます。価格だって一千万円以上は普通にします。しかし一般の人が日常の足に大型トラックを使うと持て余してしまうでしょう。世の中には趣味で大型トラックを転がしている人も居なくはないでしょうが、軽自動車にも大型トラックにもそれぞれの用途があり、高価で高性能だから全ての用途を満たす訳ではありません。用途が明確でない一般消費者が業務用PCを買っても高いだけで満足出来ないと思います。

 業務用PCは使用目的によってどこにカネを掛けるか変わってきますが、絶対的な性能よりも「安定動作、壊れにくい、サポートの充実」に振っているものが多いです。コンシューマ向けに比べてスペックの割に高価になるのはその為です。業務用PCが壊れたり、動作が不安定になって業務に支障を来せば重大な機会損失となります。稼げるはずの収益が得られなくなるのです。そんなことが度々起こればPCメーカーも信用を失い、顧客は離れてしまいます。そうならないように企業向けPCメーカーはサポートを手厚くしています。VAIOだとメーカー保証1年に加え落下や水濡れにも対応する3年間の無償サポートが付いて来ます。万一故障した場合は引き取りから修理、納品まで一週間で対応するそうです。

 試しに「VAIO 故障」などのキーワードで検索してみると、出て来るのはソニー時代のものばかりで、今の体制になってからのものはほとんど見つかりません。そのぐらい、今のVAIOはサポートに気を遣っているのです。当然、その費用は価格に上乗せされます。

 また、業務用PCの価格設定は、実は税制と深い関わりがあります。通常、10万円以上のパソコンを購入すると固定資産となり、その費用は3年に分けて償却しなければなりません。しかし、一定の条件を満たす企業では1回30万円未満、1年に300万円までの固定資産をその事業年度に償却できる「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」が利用出来ます。

 少額償却を利用せず、消耗品費でパソコンを購入しようとすると、10万円未満のものを選ばなければなりませんので、そのスペックはかなり抑えたものになります。最低限の事務用ソフトが動けば、その他には目をつぶると言ったことも珍しくありません。

 一方、少額償却を利用する場合、30万円未満であれば損金に計上出来るので30万円を上限に盛れるだけ盛ったほうがスペック的にも税制上も有利になります。メーカーもその辺りを分かっていて、どのメーカーも大体30万円を閾値とした価格設定になっています。

 15万円と言う金額はコンシューマ向けでは妥当ですが、企業向けとして考えるとスペックも税制上も中途半端なものになってしまうのです。

 そんな訳で、一般消費者が敢えて業務用PCを選ぶ必要はありません。用途と予算に合ったものを選べば良いし、業務用PCが高価なのは相応の理由があると言うお話でした。





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