見出し画像

映像脳

(ただプーチンは熊に乗って仕事へ行く)
「おおベイビー、君匂うよ」

目を瞑ったそばからじょうごを頭にぶっ刺され、そこを伝ってどばどばと映像が流し込まれるような状態で、ただ目の中全体を見ている。

(頭と体が平面三角の人間が川を流れるように上の方からこちらへ歩いてくる)


いつでも目を開けれる状態だから夢ではない。明晰夢でもない。意思とは関係なく映画を見るように勝手に物語が進み、360度カメラの映像みたいにぐるぐると視点が変えられる。「意思とは、医師である」という具合に形の概念は狂っている。

寝る前だから興奮に浸りたくないのだが、瞑想するように頭を空にしようしようとすると悪化する。この時は体が疲れていない場合が多いので、それも相まってなかなか寝付けない。どうしても寝たい時は、無理やりエロいことを考えて焦りをまぎらわせると、やっと眠りに落ちる。

そう、ただの睡眠障害である。

僕自身映像を扱う作家ゆえ、カメラをここに置いて、マイクは別撮りして、始めと終わりのカットはこうで、音楽はここで挿入して、、と、日常を映像脳で過ごしてしまうことがあるので、なんとなく原因がわかっている。これだけユーチューバーが増えているし、誰でも簡単に写真や動画を加工できる時代だから、現代の病として共感する人が多いのではないかと思う。誰かの目線で過ごしているうちに誰かになって、見たくないものを切り取って現実にしてしまうせいで、そのしわ寄せがそうして映像で流れ込んでくるのではないか。


(プーチンはクリーミーかまきりを手でつまみ、去っていく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?