一区切りのギブアップ日記~ミニシアターとか映画界をよくしようとしている人たちにどうしても言いたい6つのこと~

この9カ月、元職場の劇場を告発してからというものの、俺なりに頑張ってきました。で、元職場にいろいろ質問し、メールで回答が来ました。感想は「もう全部無駄だったな」でした。

ある意味すっきりした気持ちで人生やり直します。すっきりついでに、「映画業界の闇」関連では最後のnoteを書いておきます。

俺は映画界のハラスメントや労働搾取撲滅のために動いている方々をまとめて「活動家」と呼んでいます。俺が経験した中での、活動家のみなさんへのメッセージです。みなさんには6つの問題があったと感じました。あくまでも、俺の経験に基づく感想です。

この日記でみなさんが不満や怒りを感じたとしても、俺は知りません。もう降ります。普通に暮らします。やり逃げます。

唯一、映画関連で自分がこれからもやっていくことは被害者のケア。それだけです。ハラスメントや労働搾取の被害者から何かを言われない限り、僕は「映像業界をよくしよう」という流れにもうタッチしません。どうでもいいです。映像業界がいくらよくなったところで、俺の人生には何の影響もありません。時間と精神力の無駄です。

俺の告発を受けて、加害側の劇場は業務改善を行いました。感想として、縁もゆかりもない人たちの労働環境が整ったところで、自分の心は癒されませんでした。映画界の改善と、僕の受けた苦しみに何の関係もなかったです。もう、何かを発言したり、提起したりする価値はないと考えます。

ヤクザみたいな人たちに、もう関わらない方がいいって話です。

①自分の話だけするのをやめてほしい問題

僕は何人かの活動家から、ハラスメント被害のヒアリングを受けたことがあります。その中には深田晃司監督のように、真摯に僕の思いと向き合ってくれた人もいました。しかし、僕の被害を告白するつもりでヒアリングを受け入れたにもかかわらず、いつの間にか自分の話をしている活動家たちも非常に多かったです。

世界的に映画の現場でどのような問題が起こっており、日本はどのように変わっていかなければいけないのか。そのために活動家たちは何を思い、行動しているか。いずれもとても興味深い話です。しかし、ハラスメントや労働搾取の被害者たちが、そこまでの事情を理解しなければならない理由はあるのでしょうか。

僕たちの願いはシンプルであり、「世に被害の実態を広めたい」「同じ場所で同じ問題が起こらないようにしてほしい」というだけです。活動家の理念などぶっちゃけ、知ったことではありません。聞いてくれるというから話そうとしただけで、「なぜこちらがお前らのカウンセリングをしなきゃならんのだ」といつも思っていました。

これは、組織の中で「業界に働きかける人」と「被害者にヒアリングする人」が切り分けられておらず、1人がいずれの業務も担っているからだと思います。被害者とのヒアリングでは、傾聴力のある人をつけてください。それこそ、心理療法士などのメンタルのプロにお願いするべきだと思います。(僕が話していて、メンタルヘルスへの理解がある人との会話は、一切のストレスがありませんでした)

②シンポジウムやりすぎ問題

映像業界の問題について、なんとか会議とか、なんとかシンポジウムとか、どこもやりすぎですよ。で、はっきり言って無駄だし。なんでかっていうと、すでに問題をある程度理解している人が、その考えを補強するために駆けつける場になっているからです。コミュニティシネマセンターの会議とか、まさにそうじゃないですか。

あそこで何を話しても、ミニシアターや撮影現場に影響力のある人間に届いているかどうかは疑問ですよね。じゃあなんで会議とかシンポジウムをやるのかっていうと、「私たちはこんなに真剣に活動してますよ~」ってポーズでしかない。

それに、ああいう会議に出席しているどこどこ大学の教授とか、別に現場を知っているわけじゃないでしょ。誰がどの立場で何を話してるんだよ、っていつも思います。超無駄なので、金と時間を別のことにまわすべきじゃないでしょうか。

③ミニシアターのスタッフ軽視しすぎ問題

俺のところに、いろいろなミニシアター関係者から「現場でハラスメント被害に遭った。話だけでも聞いてほしい」と被害を訴える声が届きました。まず、活動家の皆さんは自分たちのところに、あの人たちが相談してこなかった事実を恥じてほしいです。要するに、駆け込み寺として信用されてないってことなので。

なぜミニシアタースタッフのハラスメント、労働搾取被害が軽視されているのかというと、圧倒的に人数が少ないからなんですよ。そして、大手企業や有名人が絡んでいるわけでもないので、報道としての引きもない。マスコミはもちろん、活動家からしても関わる「うまみ」がない。

ミニシアタースタッフの被害に寄り添うよりも、大手配給会社や有名監督を糾弾する方が、世間へのアピールになる。

てか、活動家ですらミニシアターの実情を知らないのが本当のとこでしょう。アンケート調査とかやってるのはすごいと思いますよ。でも、活動家が、リアルタイムで暴力や労働搾取を行い、でも従業員以外にはいい顔をしているミニシアター関係者を把握していない。それが問題だと思います。

何言ってるのかっていうと、「ミニシアターを存続させよう」という活動の対象に、平然とハラスメントが横行している劇場が含まれているんですよ。だから、僕はミニシアター支援活動の有名どころを支持しないんです。

④監督に頼りすぎ問題

深田晃司監督とか白石和彌監督を僕は尊敬しているし、そのすべてを肯定していますよ。なんか、深田監督を内ゲバ的に批判している活動家もいましたが、「知らねえ。足引っ張るなよ」って感じでした。

でも、映画監督って本来、プロデューサーに声をかけられて、現場を任されているポジションなんです。現場で起こった問題については、プロデューサーのほうが責任は重い。今、業界改善のためにもっと動かなくちゃいけないのはプロデューサーたちです。

なんで監督や俳優や技術スタッフばかり矢面に立たされているのかっていうと、プロデューサーは組織の人間だからなんですよ。会社を背負っているので発言の自由がない。一番責任が大きい人なのに、一番自由がない。プロデューサーが何もやらないから、ほかの人が必死にならなきゃいけない。

監督たちは自分が出資でもしていない限り、現場の労働環境について、決定権はありません。もちろん、ハラスメントなんかは立場に限らず、個人の資質によるものです。でも、そういう現場を見過ごしてきたのはプロデューサーたちだし、そのしりぬぐいを現場の人間たちが行っている状況は不愉快ですね。

で、活動家もそこに便乗して監督ばかり盾にすんなよな、と。あの人たちにばかり喋らせても仕方ねえだろと思ってました。

⑤映画ライター無知すぎ問題

一部の活動家の怒りが映画ライターに向けられたこともありましたよね。俺もやっちゃってました。すみませんとも思いませんが、まあ、不毛な時間でした。

ぶっちゃけ、映画ライターに何かを求めるのは酷なんです。彼ら、彼女らは出版社や編集部の依頼で原稿を納めているだけなので、ハードな言い方をすれば「文章が上手くて取材もできるオタク」でしかないんです。別に現場も知らないし、映画制作とか配給の知識もない人は多いと思いますよ。好きなものに詳しいだけで、その好きなものの文章について、たまたま需要があるだけの人たちです。

でも、映画ライターたちがハラスメント加害者たちと平然とつるんでるのを見てると、「いくらなんでも無知すぎるだろ」とは思いますよね。中には、普段から割と意識的なこと言ってる人とかもいるんですよ、その人がまだ報道されていないだけで裏でメチャクチャやってる奴を「尊敬している」とか発信していると、「無神経すぎる」と思います。あ、確かな情報です。そいつの被害者は僕の友達なので。

メディア全体の話ですけど、結局、記事を書くのはライターなんだから、てめえのオタク趣味だけに耽溺して、現場をまったく見ていないのはどうかと思いますよ。まあ、彼ら、彼女らが責任の一端を担っているというのは言い過ぎにしても。

⑥誰も被害者に話聞かない問題

よく言ってる話ですけど、僕に被害状況をヒアリングしてくれたうえで、それを公の場で発信してくれたのは深田晃司監督ただ一人です。ヒアリングしてくれた人は他にもいるんですけど、秘密裏に済ませようとしたり、「また連絡します」と言ってそのままになったり、まあ、雑に扱われた感じがします。

活動家たちが頭にくるのは、なぜか俺らの話を代弁しようとするんですよ。でも、「いや、お前に話とかしてねえし」っていつも思ってます。

こんなところですかねえ。

僕がこれだけ白けてるのは、もう映画界がどうとか、自分の過去がどうとか、そういうことから一切離れて、新しい人生を歩こうとしているからです。今まで、何が一番ストレスだったかっていうと、映画界をよくしようと活動している人たちと、被害者の間に溝が大きすぎて、「力になってもらった」という感覚が全然ないんですよ。

てか、映画界をよくしようとする人たちの目に、なぜかミニシアターで労働搾取された人たちは入っていない。有名人でもないし、人数も少ないから。

結局、映像業界をよくしようとするなら、徹底的に「映画を作るハードルを上げる」「映画館経営のハードルを上げる」「その監査機関を設置する」ということをやっていくしかない。でも、そこを指摘している人は誰もいない。簡単な話で、「それだと映画が作れなくなって、自分たちの仕事が奪われるから」です。これ、俺が言ったんじゃないですよ。お前だろ、映画監督の××××!

だから、俺にいろいろやってきた加害者と同じくらい、もう活動家とも関わりたくないし、映画は見るだけでいいわ、って気持ちですね。この9カ月、マジで頑張りました。もうギブアップです。

さようなら、さようなら。

最後に言っときます。一部の活動家の理想のために、被害者を利用するのはやめろバカ。被害者の気持ちが何よりも優先だし、それが分からないまま「映画の未来が…」とか言ってる奴らが、俺は大嫌いでした。

日本映画が崩壊しても、俺はスパイダーマンとかピクサーとかネトフリとかが残っていれば楽しいんで、どうでもいいです。でも、こんだけミニシアターとか日本映画の現場が腐っていることが分かっているのに、変わらずそこに愛情を抱けるのは「みんなマヒしてるよなあ」って感じですかね。

以上です。



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