なぜあなたの話にはオチがないのか

職場のシャワー室にいるとき、扉のむこうから先輩の声がした。

「この前の休みの日、頭痛がしまして…」

それを課長がうんうんと聞いていた。私は盗み聞きすることした。

先輩が話し続ける。「気になったので脳外科に診にもらいに行ったんですよ…そしたらMRI撮ることになって」

おもしろくなりそうな導入だった。

「MRI上は何ともなかったんですけど、じゃあこの頭の痛みは何だろうって思って…睡眠に問題でもあるんじゃないかと思って。最近眠れてなかったんです。だからオーダーメイドの枕作ることにしたんですよ」

課長はうんうんと聞いている。

「枕の店に行ったら、20分くらいで枕は完成したんですよ。それ使って床についてみたら、これがぐっすり眠れたんですよ!…っていう話です」

そして先輩と課長は去っていった。

シャワー室のなかで私は携帯を取り出し、先輩にラインをした。『MRI撮って枕作って寝て安心してる場合じゃないですよ。もうひとつ話にパンチ足せませんでした? たとえば、衝動的に枕を買ってしまう自分の脳はやっぱりおかしいのかもしれない、とか、そんなんでもいいから』

するとすぐに返信が来た。『え? なんで知ってるの⁈  もしかしてストーカ?』

ストーカってなんだよ、森博嗣が言うときのコンピュータじゃねーんだから

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屋根裏のトコノマ
ハワイが危機になったらハワイキキなんですかね?