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成長市場で求められるPMMの役割とは?ークラウドサインのプロダクトマーケティングマネージャーの現在地と挑戦

2022年からクラウドサインのプロダクトマーケティングマネージャー(PMM)を務めております安藤(@andhrid0)です。クラウドサイン(弁護士ドットコム)に入社して3年半になります。もともとはサイボウズのパートナーセールス、そしてクラウドサインでは新規事業開発からプロダクトアライアンス、セールス、カスタマーサポート、インシデントマネジメントなど色んな所でボールを拾いながら戦ってきたSaaSのよく言えば、マルチプレイヤー、簡単にいうとなんでも屋です。

クラウドサインはリリースしてまもなく7年を迎えますが、PMMという職種の歴史は浅く、フェーズに合わせて事業責任者がPMMの役割を担ったり、PMがPMMのような役割を包含していたりと、固定的な役割ではありませんでした。

今年の3月から新たにPMMという組織が立ち上がり、半年近く活動してきてある程度形ができてきたので、そこで得たことや現在地をまとめたいと思います。

クラウドサインの現在地とこれから

クラウドサインは2015年に提供を開始した電子契約サービスです。専門的な用語でいうと「事業者署名型の電子契約サービス」として国内で先んじてサービスを開始したこともあり、多くの企業に導入いただき、クラウドサインを介した累計送信件数は1000万を超えました。(2022年5月)

自社

紙とハンコをクラウドに置き換えるというシンプルな課題を解決するプロダクトでありながら、使っていただくお客様の規模や利用シーン、販売や連携をするパートナー様も多種多様になり、大規模なプロダクトに成長しつつあります。

2023年3月期第1四半期IR資料より

市場環境

一方で、クラウドサインがリリースされた頃にくらべて「電子契約」というワードは当たり前になりました。特に2020年のリモートワークが一気に広がったタイミングでその傾向は顕著になっています。

Google Trendでのキーワード推移(赤色が「クラウドサイン」/青色が「電子契約」)

その中で市場において電子契約が求められる水準も高まってきています。

  • 数万件単位の大規模な契約業務への対応(パフォーマンス・API)

  • 重要な契約における認証を強めた契約

  • 電子契約を受信したときの対応

  • 締結した契約そのものの管理や契約の作成

  • より円滑に安全に契約ができるユーザー体験の提供

  • etc

契約マネジメントプラットフォームへ

「契約」は事業リスクをコントロール・管理する手段であり、受発注などにおいては営業活動を収益化し、さらにその先の請求・納品といった業務へつなぐための接点でもあります。したがって契約業務をデジタル化することの業務や経営へのインパクトは非常に大きいです。

これまでは「紙とハンコをなくす電子契約」でしたが、これからは企業が抱えるリスクの見える化、より円滑な業務フローの構築を支援していく必要があると考え、クラウドサインではそれを「契約マネジメントプラットフォーム」と定義して、新たなステージに立っています。

2023年3月期第1四半期IR資料より

クラウドサインにおけるPMMの役割

PMMには事業ステージやビジネスモデルによって様々な役割が定義されていますが、今のところ下記だと考えています。

  • 市場に求められる課題を特定し、解くべき課題の優先順位をつけプロダクトが提供する価値を増やしていく

  • 価値(課題の解決策の集合体)を効率的かつ効果的にユーザーに届ける仕組みを考え、収益に転換する

プロダクトの価値を増やす

一言でいうとPdMと協同して作成、プロダクトロードマップを指しています。

スタートアップフェーズのプロダクトでは、市場調査、顧客の課題検証、リリースまでのゼロイチフェーズをPMMが担うことも多いですが、クラウドサインはリリースして7年たつプロダクトなので、そこをゼロからおこなうことはやっていません。

一方で大規模なプロダクトに成長し、さらに顧客層もエンタープライズから個人事業主までロングテールに行き渡っているプロダクトとなっている現在、製品としての価値を増やしていくために、以下の3つのリソースから、ロードマップを意思決定しています。

  • 顧客の声(Voice of Customer)

  • 外部環境・市場調査

  • 製品戦略・事業ロードマップ

これらの中から、解くべき課題の優先順位付けを行い、リストに反映し、更にPdMがWhy→Whatと検討していく価値の探索プロセスに引き渡していきます。これらを週1回の事業責任者を交えたリアルタイム視聴可能な会議体で意思決定を行い、透明性高く運用をしています。

プロダクトが使われる仕組みをつくる

続いてが新たに増えたプロダクトの価値をユーザーに届けるプロセスになります。これはいわゆるマーケティング・ミックスの4PにおけるPrice,Place,Promotionの設計にあたります。これらはロードマップにあがるときと同時に検討されていることが理想ですが、リリースが近づくにつれ、マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、パートナービジネスとの壁打ちを重ねブラッシュアップさせていきます。

また、解決できる課題が増えるとプロダクトそのもののコアバリューも変化していくため、市場環境に合わせてプロダクトそのもののポジショニングも変更されていきます。

正直にいうとここはまだまだ科学的にシステマティックにできていない部分があり、課題が山積みの部分です。

具体的な業務

大きな役割としては以上の2つになりますが、それ以外にも大規模SaaSならではの課題解決に取り組んでおり具体的な業務は多岐にわたります。

  • プロダクトマネジメント領域(主体はPdMとともに)

    • 日々の課題の収集と言語化

    • PdMが検討したのWhyやWhatのアウトプットのレビュー

    • 開発プロジェクトで発生する課題や仕様の相談

    • 市場調査による新たな機会や脅威の探索

  • プロダクトマーケティング領域

    • プレスリリース原稿の作成

    • プロモーションチャネルごとの打ち出し方の検討・起案

    • 商談で利用する資料への反映やセールス・CSへの説明

    • ヘルプ・カスタマーコミュニケーションの検討・起案

    • プライシングやプランの検討

  • その他

    • プロダクトにまつわるインシデント発生時のコミュニケーション整理

    • プロダクトでは解決できない課題の解決策の検討

    • 過去の意思決定に基づいたコンフリクトの解消

メンバー

実は今、安藤と事業戦略部門の責任者である小林(@yuki_koba8)の2名で上記を運用しています。最も重要なプロダクトマネジメントはPdMを中心に仕組みができあがりつつありますが、PMMの本領であるマーケティング領域への責任が果たせているかというとまだまだ満足できていない状況です。

ちなみに小林は元中央銀行→コンサルという戦略家であり刺激的なビジネスパートナーです。

クラウドサインは成熟したSaaSと思われている方もいらっしゃるかと思いますが、先程述べたように、電子契約のNo.1から契約におけるNo.1に生まれ変わる新たなフェ―ズに突入しています。

これまで培った資産を活かしながら、新しい市場において多くの日本企業が抱える課題に真っ向からチャレンジできる環境は貴重な環境です。

まだまだ一緒に戦うメンバーを募集しておりますので、チャレンジしてみたいと思った方はご連絡お待ちしております。



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