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うまい話には裏がある?

こんにちは。名古屋の元テニスコーチ弁護士の柳川豊です。

前回はテニススクールの選び方についてお話ししました。

https://note.com/yanaytk0311/n/n6c1cf6ed0c01

まだ読んでないという方がいらっしゃったら、読んでいただければ幸いです。
テニス法プロジェクトチームメンバーの紙尾先生からは、
「法律がテニスの解説に呑み込まれていく感じがとても好感あり」
と本の帯にあるようなお褒めの言葉をいただきました。
ありがとうございます。

さて、前回の記事で、テニススクールを自由に選ぶことができることは分かりました。
では、より自分に合ったテニススクールを見つけるためにも、いくつかテニススクールを探してみることにしましょう。

インターネットが普及した昨今、『テニススクール 名古屋』と検索すると、たくさんのテニススクールが確認出来ます。どこのテニススクールもホームページを利用して、独自に目を引くような広告を出していますね。

では、あなたが入会したいと思えるような広告は例えばどのようなものでしょう。

『体験レッスン無料』
 →とりあえず体験レッスンだけ行ってみるか。
『入会金無料』
 →ありがたいけど、大体どこも入会キャンペーンで入会金無料だよなぁ。
『家族友達紹介キャンペーン』
 →紹介者にもお得だけど、もう一声!
『1ヶ月間全額返還保証(1ヶ月のレッスンの内容にご納得いただけない場合には、全額を返金させていただきます。)』
 →1ヶ月お試しで行けるなんて、お得やん¥ 合わなければ辞めればいいし。

これは、入会してもいいかなと思える魅力的な広告ですよね。

しかし、このような広告には注意が必要です。

不当景品類及び不当表示防止法という法律はご存知でしょうか。

いわゆる景品表示法という法律です。

この法律には、『有利誤認表示の禁止』が定められています。

景品表示法第5条第2号において、
事業者は、自己の供給する商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示をしてはならないと規定しているのです。

長くて少し難しいですよね。

要するに、今回の広告に必要なところをまとめると、

事業者が自己の供給する…役務の価格その他の取引条件について、

実際のもの…よりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、

不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示をしてはならない

ということです。

例えば、広告には、『1ヶ月間全額返還保証』と書いてあったのに、

そのスクール規約には、『会社は、会員から返金の申し出があった場合には、会社が承認した場合にのみ、会員に対して、支払済の費用を全額返還します。』
と書いてあった場合、どうでしょう。

1ヶ月間全額返金保証』という記載を見れば、無条件に全額返還してもらえると思いますよね。

でも実際の規約には、『会社が承認した場合にのみ』という制限が付いている。

広告を見ただけでは、無条件で全額返還してもらえるって思いますから、
無条件の全額返還は、「実際のもの」(制限付き)よりも「著しく有利である」と誤認してしまいますよね。

これは有利誤認表示にあたる可能性があります。

実際に、以前、某有名パーソナルジムの広告で同様の問題が発覚し、消費者団体から指摘を受けるということがありました。

テニススクールとしては、他のテニススクールとは異なった独自の魅力を発信して、たくさんの会員を呼び込むことが求められるなかでも、嘘やごまかしのない広告を今後も心がけていただきたいですし、

我々としても、魅力的な言葉に飛びついてしまうのではなく、入会前にきちんと説明を受けるなどして、一度落ち着いてから入会するかしないかの判断をするようにしましょう。

そうすることで、後のトラブルを防ぎ、テニススクールとスクール生の気持ちの良い関係が築いていけるでしょう。

今回は以上となります。『有利誤認表示の禁止』が参考になったという方は、コメント、♡をお願いします。また、次回も読んでみたいと思っていただけた方は、フォローもお願いしますね。

次回もお楽しみに。
 
弁護士  柳川 豊


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