トレーニーの日常 【腹筋編3】
部活動の補強トレーニングなどで、毎日のように腹筋を100回、1000回とやった(やらされた)記憶のある人は多いのではないだろうか。あれだけ数をこなした腹筋であるが、ことフィットネス界、とりわけボディビル界では腹筋をほとんどやらないという人が大半を占める現状である。やるにしても、腹筋だけの日を設けているという人となるとそうそういない。
しかし、腹筋をあまりやらないと公言しているボディビル選手などを見ても、決して腹筋が貧相なわけではない。むしろよく発達している。
このことを踏まえると、腹筋は特に力を入れてやる必要がない部位なのだろうかという疑問が生まれる。今回はその点について考察してみたい。
まず、腹筋がどこについているかというと、言うまでもなく腹部についている。重要なのはそこではなく、それが上半身と下半身の境界であるということだ。
スポーツやトレーニングの動作において、下半身の力をうまく上半身に伝えて大きな力を発揮するというシーンは非常に多い。足の裏と地面の接地点から得られた反発力を、腹部を経由して上体へと伝達し、例えば野球であれば投球やスイング、トレーニングであればベンチプレスなどの挙上を効率よく行う糧とする。
この力の伝達をうまく行うためには、腹筋の働きは欠かせない。せっかく得られたパワーを伝達しようとしても、上半身と下半身を繋ぐその境界がゆるゆるであれば、うまく伝わっていかないからだ。つまり、全身運動を行うような動作では、自然と腹筋が使われているということが言える。
トレーニングに話を戻すと、全身を使ってウエイトを挙上するような種目においては、腹筋が使われている。よって、ある程度の重い重量でそのような種目を繰り返し行なっていれば、自然と腹筋はつくと考えられる。そのようなプログラムを組んでいる人であれば、取り立てて腹筋を強化する種目に主眼を置いたメニュー配分を意識する必要はないと思われる。
逆に言えば、負荷の高い全身運動をあまり行わないという人は、個別に腹筋をやる意義は大きい。「過負荷の原理」に則れば、筋肉に対してより強い負荷を与えることが筋肥大においては必須である。高重量のスクワットやベンチプレスなどをやらないという人にとって、腹筋以外の種目の実施時に自然とかかる腹筋への刺激は、腹筋の筋肥大には十分でないと考えられる。よって、しっかりと腹筋を鍛えるためのメニューを組むことが望ましい。
ボディビルダーたちの腹筋が見事なのは、もちろん腹筋を意識して鍛えているという場合もあるが、一方、日々高重量でトレーニングを行う中で自然と築き上げられたという側面も大きい。
腹筋を大きくしたければ、今のトレーニング内容を考えて、腹筋に十分な刺激があるかどうかを見極めるのが良いと思う。もし刺激が十分でないと思うのであれば、個別に腹筋をやっていくのが正しい選択だろう。
次回は背筋について。
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