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ハノイのロックダウンは、容赦ない

Chao!

7月24日。とうとう、私の住むハノイ市においても、本格的なロックダウンがはじまった。

その約2か月前には、ベトナムの経済都市であるホーチミン市がロックダウンされた。その内容は、不要不急の外出はもちろん、近所の散歩といった行為さえ「外出の理由がない」として罰金が取られる厳しい内容。

ベトナムで最もポピュラーな公共交通手段である「GRAB」もすべて停止となり、テイクアウト含むレストラン・カフェの営業は全て禁止。官僚一家のベトナム人同僚からは「ホーチミン市では貧乏な人が(餓死で)何人も死んでいる」という話も耳にし、「あちらは大変そうだな」なんて思っていた。

…完全に対岸の火事だった。そのロックダウンが、ハノイにやってくるまでは。

ちなみに、8月8日現在、ベトナムの第3の都市と呼ばれるダナンでもロックダウンが実施されている。首都ハノイ、経済都市ホーチミン、そしてダナンと、ベトナムの主要都市は全てロックダウンとなってしまった。

これにはもちろんベトナム国内の感染拡大に歯止めがかからないことが大きい。4月27日以前、すなわち第4波が来るまでのベトナム国内での新型コロナウイルス総感染者数(2020年3月~2021年4月)は3,955人。それが、ここ3か月ちょっとで、累計189,066人まで膨れ上がっている。

もともと、ベトナムは台湾と並んで「新型コロナウイルス封じ込めの優等生国」だった。そのやり方は、早期対応、および、感染源が出たところおよびその周辺を徹底的に封鎖するというもの。それこそ、市内で数名の感染者が出ただけで、市内全域での店内飲食を禁じたり、感染者が出たアパート全体を一時封鎖するという徹底したものだった。

当初は「随分極端な対応だなぁ」と思っていたものの、そのような対応で1か月以内に収束できていたことも事実だったし、そのような何もかもがスピーディーのベトナムを見ていると、「日本は随分のんびりしてるなぁ」と思ったりもした。

それが一転、新型コロナウイルス第4波では大いに苦戦し、とうとう貧しい人を中心に餓死者が出ても徹底したロックダウンを続けるベトナム(それでも感染者数が減る気配は一向にない…)。やっぱり、インド型と噂されている、変異株の驚異的な感染力の前にはなすすべがないのか。それとも、ワクチンで出遅れてしまったのがここにきて命取りとなってしまったのか(今年の5月時点で、ワクチン接種率はわずか1%ちょっとであった。現在は早急に進めていることもあり、少しずつワクチン接種した人は増えてきていると思われる)。

さて、ハノイでロックダウンがはじまった翌日。ホーチミンに住む知人より、「スーパーに入るのにも1時間並ばなければならない」といった壮絶な状況を耳にした私は、恐る恐るスーパーへと向かった。

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悪い予感が的中した。スーパーに入るのに並びはしなかったものの、店内は異常なほど買い物客でごった返しており、日持ちするキムチなどの食品が棚から消えつつあった。

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その数日後。再度同じスーパー・フジマートに訪れると、今度は野菜が消えていた。野菜なんてそんなに日持ちしないのに、皆たくさん買い込んでどうするんだろう…と思いつつも、私も自分で運べるだけの食材をつめこみ、レジへと向かった。

あれから度々フジマートへ行っているが、日によってあるものがなかったり、あったり、ただ総じて今のところは強い不便は感じていない(あえていうなら、お気に入りの豆乳がないことくらい…)

さて、冒頭で「すべての公共交通機関がストップしている」と書いたが、それでは私はどのようにスーパーまで行っているのか。実は、折しもロックダウンがはじまる1か月前、私はこっそりバイクデビューをしていた。

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友人の友人がベトナムを離れることになり、安くバイクを売っていたのをみて、文字通り「勢い」で購入したもの。その後、同僚のリンさんに教えてもらいながら、少しずつ練習をしていた。

それでも、ベトナムはただでさえ交通量が多く、「運転手の半分が無免許」といわれる無法地帯。教えてはもらったものの、ほとんど運転していなかったのが実情だった。

それが今は、ほとんど車もバイクもなく、道路がガラガラ。最寄りの日系スーパーであるフジマートは、2KM以上離れたところにある。今活用せずにいつ活用するのか。若干の懸念がありつつも、私は本格的なバイクデビューを果たした。

実際、バイクは運転そのものはとても簡単だ(自転車と同じくらいの難易度だと思っている)。他の車やバイクがなければ、ほとんど身の危険を感じることなく、スムーズに目的地までたどり着ける。

逆に、もし今運転できなかったらどうしていただろうと思うと、ゾッとする。私の住むSun Red River Buildingにある小規模な日系マートは閉じてしまったし、ローカルスーパーでも1km以上離れたところにある。そして、なぜだか分からないが、現状バイクよりも歩いていたり自転車に乗っていたほうがなぜか公安に止められて尋問を受ける。

もし今後ハノイに赴任予定の方がいたら、どうなるかは分からないけれど、とりあえずバイク(もしくは自転車)を購入しておくことをお勧めしたい。

日々目まぐるしく変化し、躍動感に溢れているハノイ。コロナがなければ最高に面白くて便利な街だが、それがいまは(運転できる人以外は)足の自由を奪われ、シャッターが閉まったゴーストタウンと化している。

ホアンキエム湖での平和な朝や、お気に入りのフォー店。ハノイの大好きな時間が戻ることを、今はただただ待ちわびている。

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