私はなぜ逮捕されたのだろうか。いまだにわからない。原発の危険を訴えたことが、そんなに悪いことだったのだろうか? 元原発労働者だった私は、福島第一原発の原発震災が発生した2011年9月に、「原発放浪記」という作品を宝島社から出版した。その直後から積極的に反原発運動に参加するようになり、浜岡原発のお膝元である御前崎市では少しは知られた存在になった。当然、警察にも目をつけられていた。 だが警察の動きが活発になったのは、2018年に「放射能を喰らって生きる」の出版活動をはじめ
美しい海と、どこまでも続く松林。その近くに、小さな村がありました。 この村の住民は、みんな動物たち。 貧しいけれど、なかよく平和に暮らしていました。 ある朝、村にいちばん多く住むヒツジたちが砂丘に出てみると、まっ黒いものがキイキイ音を立てながら、うじゃうじゃうごめいています。 そうっと近づいてみると、ネズミの大群が地面を測量していたのです。 ヒツジたちが驚いていると、「みなさん!」という声がして、一匹の背広を着たネズミが出てきました。 「びっくりさせて、もうしわ
北部タイの山岳地帯で暮らす、自由な恋愛観を持った一夫多妻の民族・アカ族。男は彼らの生き方に魅かれ、村で暮らすようになる。 丘の上の集落 敵の攻撃を考慮したのだろうか。そのアカ族の村は丘の頂あたりに家々が寄り集まり、まるで村全体が要塞のような造りになっている。巨大な猛禽類の爪跡のような筋状に鋭くえぐられた坂道を、陣内孝志は丘の頂までいっきにバイクを走らせた。 村の中心部である頂上周辺は小広場になっていて、その広場を取り囲んで環状にかや葺き屋根の貧しげな家々が建ち並ん