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佐藤一斎 能(よ)く人の言を受くる者にして、而(しか)る後(のち)に与(とも)に一言(いちげん)すべし。人の言を受けざる者と言うは、翅(ただ)に言を失うのみならず、秪(まさ)に以(もっ)て尤(とが)めを招かん。益無きなり。

人の話を聞く者と話す事は良い。

しかしそうでない者とは、言葉を交わす事が無駄であるだけでなく、言葉の過ちを招くので、時間も無駄であり益もない。

簡単に訳すとこういう事である。

今年に入り、2人の人間と無駄な議論をした事がある。

1人は酒の力を借りた上、一方的に自分のジャンルの事ばかりを力説しだした。

私が「ではお前はお前の居る世界だけが幸せになればいいのか」と、論理的に返したのが苦しかったのか、聞けば聞くほど情けない言葉が続く。

終いには何を勘違いしたのか「一緒に仕事するのはやめる」と、いう。

私は何もこの子と何かをすると言った覚えもない。辞めたらいいし、そもそも辞める=逃げる、という事である。

だから、勝手に逃げろと言い締め括った。

怒りを抑え、この程度の反論で済んだ事は、私の子供の頃からの友達なんかは「もう死期が近いんじゃねえか」と言うに決まってる。

安岡正篤氏が「その人間の本性は怒らせたら分かる」と説いた事を読んでいたので、頭の中でこの言葉が逡巡したのが良かった。

以前なら確実にこの男の頭から酒をかけていた、と思うと汗顔の至りであると同時に、この男の自信のなさと思慮浅さが分かった。

こういう世間も知らず、悪い師に長くつき、それを反面教師にしない者はこうなる。人の意見を聞かぬ。

さてもう一話。

もう1人は女性だが、色んな話を楽しくしていた時、私は「北九州を良くしたいな」と言った。

すると物すげえセリフを、イヤ、どういう脳の回路ならこんな思考になるのか!という珍言を彼女は吐いた。

書くのも悍ましいが、先へ進める為に書く。

「貴方、そういう言葉は気をつけないと右翼と思われますよ」。

この発言の意味を誰か解説できるだろうか?

私は凄く高学歴の方かと思い「え?どういう意味。興味あるわあ」と言った。

すると即座に、マイクタイソンの様な、重いカウンターが飛んできて、暫くダウンした。

「右翼の人は愛国心を言うでしょ。自分が住んだ北九州を愛して、良くしたいな、て一つ間違えると右翼ですよ」と。

じゃあ左翼ならなんと言うのか、聞こうと思ったがやめた。
私は誰がなんと言おうと、大人になったと思う。

人間と言うものが、ここまで捻くれるには、どう言う育ちでどう言う親に育てられたのか、実験台にしたい程呆れた。

さて、最近人が変わった私は、隣の席にいた当社の従業員に、帰りしな言われた。

「いつ会長が切れるかと心配で・・。よく怒らなかったですね」。

怒らなかったのではなく、初めて宇宙人と話す程、この女性の思考が分からなかっただけである。

気づいた時はもう数分経っていた。

この様な自分の意見を押し付け、相手の意見を斟酌しない者はまず素直さがない。

過去、こう言う者を徹底して論破していた自分を振り返り、オレはナンテ、オロカだったんだろう。そう思った。

下らぬ怒りが最近消え、今は自分自身と戦う事が殆どである。

さて先日、残念ながら世界チャンピオンの座から落ちた、村田氏のドキュメンタリーを見た。

彼はすでに哲学者で「試合が怖い。弱い自分と向き合いたい」と、共に追求するメンタルトレーナーとの、ドキュメンタリーだった。

試合迄に「なぜ戦うのか。」「楽しい事なんかない。」「負けるんじゃないか。」。こんな言葉を堂々と述べ、苦しんでいた。

彼は若いが、そこらの大人よりすごいと思う。

ここまで考え自分の納得するまで、答えが出るまで考え、相手の話を聞き議論をする。そこには見栄も嘘もない。

「俺は何故戦うんだろう」

村田の目は、ボクシングの先を見据えてるように見えた。「結局戦う相手は自分なんだ」と悩んでいた。

実は最近私も思う。
「自分と戦う事が一番面白くなく難しいし、苦しい」と。

そう思って、録画していた彼の番組を見たらつい「分かるぞ、チャンピオン」と心で叫びながら、卵かけご飯を食べた。

この際、卵かけご飯は文中に要らないと思うが、彼は今までのチャンピオンとは違う。思想学的ボクシングワールドチャンピオンだ。

私は彼の様な高みにいないが、人と話しよく聞き、こういう人達と共に、限りなく正しい答えを出そうと思う。

人との付き合いを制限している私が、今誰と話したいか?と聞かれれば、村田チャンピオンだと言いたい。

高みに行っても答えはない。答えの後にまた問題が出るから、人は運命を作れる。

人生はその繰り返しの様に思う。

そう思うから、こうして考える村田の様な人は、高みに行くんではないか。

ただ目の前の、自分の事だけを考える事が一番正しいとか、自分の主義主張を押しつける、そんな子供教育にならぬ様にしたい。

さて明日も今の自分と戦おう。
いつかそれが楽しい、と言えるように。



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