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仕事の流儀3 Attack Y

これもボクの講座の一つ。
同じ専門学校で教鞭を執っている久世みずきさんにこの講座の内容を話したら
「よくできますねえ」
と褒められました。呆れられたのかも知れないけど。まぁ限りなく自虐的な講座。

元ネタは東大大学院教授の吉見俊哉さんの著書『「文系学部廃止」の衝撃』。この本はタイトルはアレだけど、学問の考え方を分かりやすく伝えてくれるいい本だと思います。その中に、吉見さんがどうやって学生の論文を鍛えていくための見識とかやり方について触れている項があった。そして、自分の論文を学生に批評させることで、論文を見る目を鍛える講座の話が……。
「これだ!」
と思いましたね。すぐ思うんですけどね、「これだ!」って。とにかく自分でもやってみよう、自分のネームを提供して学生に批評させ、ネームを見る目を養おう……そう思ったわけです。これには、学生が互いの作品を相互批評する講座「アナリシス」に繋げる狙いもありました。「アナリシス」はまた別項で。

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やり方は簡単。
1 学生に柳葉の読み切りネームを読ませる
2 全員に発言を課す
3 発言内容は作品へのマイナス点のみ。ただし、マイナスの根拠を必ず述べる
4 柳葉はその間、一切発言しない。事後も反論しない。
これだけなんです。吉見さんの講座名は「殴ってこい」という意味だったのでボクも「Y(Yanagiha)を攻撃せよ」という講座名にしました。ボクが司会では学生が発言しにくいでしょうからチューターに任せました。

やってみたら、きつい。きついきつい。
涙出そうになりました。おかげで
「ああ、プロの編集者は批評の伝え方も作家を立てながらやってるんだ」と言うのを改めて感じました。学生、容赦なし。
とはいえ…意外なほどちゃんと見てるんだな、というのに感心しました。まぁボクの漫画が欠点だらけなのかも知れませんけど。

この講座は4年ほどやりました。去年今年やらなかったのは泣けるから(だけ)ではなく、新作ネームを当該日までにあげるのがしんどかったからです。
締切ってのは、どういう形でも気が重い。

この時描いたネーム、何本かあります。別項であげておきましょう。ご興味もたれた方はどうぞご覧下さい。

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