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連載漫画の作り方2 技術のこと2

納期のことさらに

漫画の学校の先生をしてると「でも、世の中にはこういう例もある」と言う学生によく会います。ボクは言います。
でも、それはあなたではないから。
世の中には「売れてるからまかり通る」ということは、たくさんあります。
別に「大人は汚い!」なんて言いません。とりあえず世の中はそういうものなんです。
昔グルメ漫画が売れていた頃にその波に乗っかって売れたT先生という漫画家さんがいました。で、この人がとにかく遅い。担当の編集者が原稿をとるために仕事場に詰めていたんですが、週刊連載で三日も四日も徹夜しないとあがらない。その間の編集者の仕事ってのは居眠りしてる先生を起こしに行くくらい。しまいには担当の家庭が崩壊する危険が迫ってしまいました。そりゃあまだ子どもの小さい時分に仕事とは言え週の大半(ということは年の大半)家を空けていたら、崩壊もするでしょう。仕方がないので編集部が総出で交代しながら仕事場につめるという事態になりました。

そして起こったこと


ある週……突如このT先生、身支度をして出かけようとする。本来の締切の夜です。「それじゃああと頼むね」とチーフアシスタントに言付けて、そそくさ出かけちゃう。もちろん原稿は上がっていません。居合わせた編集者は度肝を抜かれますがチーフは「わかりました」と引き受けて、原稿は一応締切の日のうちにあがりました。
「アレはいったい?」と編集者が訊くとチーフは冷めた口調で
「仲の良い女の人がお店を出すんで。その開店パーティに出かけたんですよ」
その話が広まったあとの編集部一同は
「売れてるから許すけどな。売れなくなったら見てろ、おい!」
と心密かに思ったわけです、例外なく。大人だから口に出さないけどね。

みなさんは?


みなさんが「たまの休みだから今日は何か食べに行こう」と言うときに
・とても旨いけどいちやってるか見当もつかない店。しかも入店できても注文したものがいつできるか、もしかしたらできないかも知れない店
・店休日、営業時刻がはっきりしていて、注文したらすぐ出してくれる。味はそこそこの店
だったら、どっちを選びますか?たぶん明白ではないでしょうか。

締切を守ることに人間性は関係ないけど、守らない時いろんな人の人間性がむき出しになっちゃいます。その時余計な軋轢が生まれやすくなります。これはあとで述べる人間関係とも関わりが生まれます。

うむ。長くなったのでもう一回納期の件やります。この稿はここまで。

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