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最強(たぶん)漫画で漫画術11  プロットとキャラクターについて3

Ⅲ 裏表ある男

表の暮らしと裏の暮らしが全く違う人物が主人公。決まった一カ所に居住してたり定収入を得る暮らしをしてることが多い。スーパーヒーローものではこのパターンがとても便利だ。キャラクタのギャップを自然に見せられる。
表の実直な顔と比べて裏の顔はどこかで犯罪者めいてくる。少なくとも物語の中の法体制に逆らうような雰囲気になる。
例えば『遠山の金さん』シリーズがそう。遠山奉行という体制内にいる人物は、体制の限界を感じると遊び人の金さんになる。このように表の暮らしと落差があるほどキャラクターは生きてくる。
一話完結パターンに向いている。その一話が終わったあと、関連した人たちは以降の物語に関わってこなくてもいい(例外的に関わる者もいる)。

【裏表ある男プロット】
1 ほとんどの場合、自分から選んで裏表ある男になる。聖痕が他人や超自然的な力で本人の意思でつくのと違い、こちらは自分で選ぶ。そして聖痕は露出してることが多いが、こちらはほとんど隠している。
そして何らかの形で実社会になじんでいるが、そこではあまり目立たないようにしている。例えば『スーパーマン』のクラーク・ケントは新聞記者(人はいいがあまり有能ではない)を生活の収入源としている。

2 ひそかに世の中に憤っている
定住した暮らしをしていて、その土地と結びついている事が多い。『バッドマン』シリーズでは、バッドマンはゴッサムシティと深くつながっている。その土地では法や権力は大事なことをたくさん見落としている、そう思いながら普段の暮らしを生きている。つまり、このキャラクタにとっては正義>法なのだ。
主人公は法から外れたところで「正義」を行う。それ故、法体制や社会的な良識から糾弾されることも多い。

3 戦う相手はその土地にいる
土地と結びついて、しかも表向きの顔を守っているので、戦うべき相手はその土地にいる。あるいはその土地にやってくる。ほかの土地に遠征して正義を行うことは滅多にない。

4 知られてはいけない
その正体が世間に知られてはいけない。理由は物語ごとによっていろいろあるが、結果として表の存在が危険になる。
「正体を見られたのではないか」という展開は物語の一つのパターンとして使える。

5 知られてしまう
「知られてはいけない」パターンを逆手にとったパターン。「知られてしまった、見られてしまったどうしよう」という展開が中心になる。このとき、見る相手はだいたい2パターン。
①主人公と同類の裏表ある人物
藤子不二雄A「魔太郎が来る」の主人公はぱっとしない風貌でいじめられっ子の少年・魔太郎。彼は裏に回すと、不思議な力で、いじめられた恨みを容赦なく晴らす。普段はそういう正体を隠して暮らしている。正体をばらしてしまったのは阿部切人。普段はあどけない赤ん坊だが、裏にまわると陰湿で残忍な性格と不可思議な力の持ち主。このように主人公と同タイプの存在なら、正体を知られてしまうことがる。そして、何回も繰り返し登場してくる。時にレギュラーになる。
②法の側にいる善意の人
法は守るがそれだけでは裁ききれない者がある事を知ってる人物。法と秩序を守るために世間に主人公の存在を公表しようとする。
公表しやすい立場なので、新聞記者などが割り当てられることが多い。窮地を主人公に助けられて、結局は取りやめるという展開が定番。

6 パートナーは裏表を見る
世間に対してはどちらか一方の顔しか見せない裏表のある男も、パートナーに対しては裏表を見せる。ただし同時に見せることはなく、別々の機会に。
パートナーは裏表両方見てどちらにも惹かれ、しまいには自分がどちらに惹かれているのかわからなくなっていく。

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